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日の丸半導体の破綻

 国の支援を受けて経営再建中だったエルピーダメモリは、2012年2月27日に会社更生法の適用を申請し、破綻した。負債総額は4480億円に上り、製造業としては戦後最大の破綻だった。

 エルピーダは、NEC、日立製作所、三菱電機の事業を統合して誕生した、日本で唯一、半導体メモリーのDRAMを生産する世界3位のメーカーだった。政策投資銀行から融資を受け、日の丸半導体とも言われた国策会社が破綻したことの影響は大きい。ほとんどの新聞がエルピーダ破綻のニュースを1面トップで扱った。

 さて、経済産業省、政策投資銀行が関与した「国策会社」破綻したことで、「産業政策は方向性を見失った」と論評する向きもあるが(「エルピーダ破綻の禍根 疑心暗鬼で“三すくみ”」産経新聞2012年3月17日)、そもそも産業政策は成功していたのだろうか。

産業政策は敗者に保護を与えていた

 アルバータ大学のリチャード・ビーソン教授とコロンビア大学のデイビッド・ワインシュタイン教授は、産業政策が成功したかどうかを検証している(Richard Beason and David Weinstein" Growth, Economies of Scale, and Targeting in Japan (1955-1990)", The Review of Economics and Statistics, Vol. 78, No. 2, May, 1996)。

 1955年から90年までの電気機械、一般機械、輸送機械、加工金属、石油石炭、精密機械、窯業、紙パルプ、化学、一次金属、加工食品、鉱業、繊維の各産業の成長率とこれらの産業がどれだけ政府からの保護を受けたかを調べたのである。保護の程度は、日本開発銀行(政策投資銀行の前身である)の低利融資をどれだけ受けることができたか、補助金の大きさ(課税の効果を除いている)、関税保護の程度(平均との差)、政策減税の大きさの4種類の産業保護政策を調べている。いずれも正で値が大きいほどより大きな保護を受けているように指数を作っている。結果はの通りである。縦軸は各産業の平均成長率、横軸は保護の大きさを示している。

拡大

 から明らかなように、より大きな保護を受けた産業はしばしば成長率の低い産業である。図には回帰線を書き込んであるが(注に回帰線の式を書いてある)、いずれの回帰線も右下がりである。すなわち、保護を受けた産業ほど成長率が低い。

 ただし、

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筆者

原田泰

原田泰(はらだ・ゆたか) 原田泰(早稲田大学教授)

 早稲田大学教授。1974年東京大学卒業後、同年経済企画庁入庁、経済企画庁国民生活調査課長、同海外調査課長、財務省財務総合政策研究所次長などを経て、2012年4月から現職。「日本はなぜ貧しい人が多いのか」「世界経済 同時危機」(共著)「日本国の原則」(石橋湛山賞受賞)「デフレはなぜ怖いのか」「長期不況の理論と実証』(浜田宏一氏他共著)など、著書多数。政府の研究会にも多数参加。

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