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「WEBRONZAから」をめぐる訂正とおわび

青山浩子 農業ジャーナリスト

 朝日新聞のオピニオン面のコラム「WEBRONZAから」(3月20日付)において、米の作付制限についてとりあげた。 JA新ふくしまに関する記述で「昨年産米で管内の3分の2が100ベクレルを超えた」とあるが、正しくは「100ベクレル以上の米を含む地域が管内の6割を占めた」である。

 そもそもの原稿は、当初WEBRONZAで掲載され、その要約版を3月20日の紙面で紹介するという流れだったが、要約の課程で表現が不適切になった。訂正するとともに関係者にお詫びしたい。申し訳ありませんでした。

 ことのてん末を踏まえ考えると、今回の作付け制限にいたった経緯や措置が複雑で、筆者の理解不足が問題を起こしたと考えざるをえない。訂正前と後の両者の違いをあらためて整理してみる。

 11年産米の流通が始まった11年11月、福島市大波地区(旧小国村)などの米から500ベクレルを超える放射性セシウムが検出された。

 福島県は急遽、検出された地域が属する29市町村(旧市町村単位で151地域)の約2万3000戸の米を緊急調査した。

 その結果、100ベクレルを超えた農家数は調査対象の2.5%にすぎなかった。地域でばらつきもあり「100ベクレルを超えた農家が地域の40%を占める」地域もあれば「超えたのはたった1、2軒」という地域もあった。

 すべての米の放射線量を測定する機器があれば、数値の低い米だけを分別し、流通させることは可能だった。だが機器はまだ配備されていない。

 そういうなかで基準値を超えた米の流通を防ぐため、100ベクレルを超えた農家が1軒でもいれば、その水田を含む旧市町村の米すべてを市場から隔離した。

 JA新ふくしまの場合、米が隔離された地域がJA管内の6割に及んだ。よって「昨年産米で管内の3分の2が100ベクレルを超えた」という表現は誤りである。大きな違いがあるにもかかわらず、配慮が足らなかった点を卒直にお詫びするほかない。

 今回、放射能問題というデリケートなテーマだったが「産地の人々の思いを伝えられるのであれば」とJA新ふくしまに取材に応じてもらった。作付を続けなければ地域の農業が崩壊しかねないという危機感を語る一方で、産地の事情だけを優先せず「放射能問題をきっかけに農家と消費者の対立を避けなければならない」と消費者の視点にまで農家の側が踏み込んでいた。双方の視点から今後の農業のあり方を模索していた点が深く印象に残った。 

 取材を始めた頃、私自身は消費者寄りの視点に立ち、「11年産で100ベクレルを超えた地区では作付制限をすべきではないか」と考えていた。だが、取材をすすめるにつれ、産地が厳しい状況で作付に踏み切った事情、福島県産の信頼回復にむけた努力を知り、消費者としても産地との向き合い方を考えなければ放射能の問題は解決しないと痛感した。

 今後は慎重にかつ継続的に福島の農業について考えていこうと思う。

◆WEBRONZA編集部から◆

 今回の記事をめぐっては、編集部のデスクワークも十分ではなく、取材をお受けいただいたJA新ふくしま並びに福島県の農家の方々にご迷惑をおかけする結果となりました。誠に申し訳ありません。青山浩子さんが改めてお書きになっているように、WEBRONZAといたしましても、この問題をめぐってはきめ細かい配慮を徹底しながら息の長い取り組みを続けたいと考えております。それが苦しい状況におかれながら取材にご協力いただける農家の方々や、被災地を忘れずに思慮深い消費を心がける消費者の方々への誠意ある態度だと信じています。

(編集長・矢田義一)

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筆者

青山浩子

青山浩子(あおやま・ひろこ) 農業ジャーナリスト

1963年愛知県生まれ。86年京都外国語大学英米語学科卒業。JTB勤務を経て、90年から1年間、韓国延世大学に留学。帰国後、韓国系商社であるハンファジャパン、船井総合研究所に勤務。99年より農業関係のジャーナリストとして活動中。1年の半分を農村での取材にあて、奮闘する農家の姿を紹介している。農業関連の月刊誌、新聞などに連載。著書に「強い農業をつくる」「『農』が変える食ビジネス」(日本経済新聞出版社)「農産物のダイレクト販売」(共著、ベネット)などがある。茨城大学農学部非常勤講師もつとめる。

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