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電力値上げと原発再稼働~経済とのバランスが大切

森永卓郎 経済アナリスト、獨協大学経済学部教授

 東京電力が4月から企業向けの電力料金を平均17%値上げする。今後、家庭用の電力料金も引き上げられる予定だ。この値上げに反発する声は多い。私も、この不況のなかで大幅な電力料金の引き上げは、国民生活や日本経済に大きなマイナスの影響を与えるのでよくないと思う。しかし、東電の原発全停止という現状を踏まえれば、こうなるのは当然だとも思う。

 昨年6月にエネルギー経済研究所が発表した「原子力発電の再稼働の有無に関する2012年度までの電力需給分析」には、原発再稼働が無い場合の電力料金に関して、次のように記されている。

 「燃料費の増加が単純に料金に上乗せされるとすれば、コストアップ分は3.7円/kwhとなる。その場合、標準的な家庭の電力料金は1ヶ月当たり1049円(18.2%)増加する。また、そのコストアップ分は、2010年度の産業用電力料金(特別高圧)平均値10.22円に対して、36%上昇に相当し、産業用の電力料金上昇を通して、わが国の産業競争力への極めて深刻な悪影響も懸念される」

 原子力の使用割合を含めて、東電の事業は全国の縮図だから、おおざっぱに言えば、東電の原発停止の影響もほぼ同じになるはずだ。またエネルギー経済研究所の推計は、昨年6月時点のもので、当時と比べると原油価格も天然ガス価格も大幅に上昇しているから。原発停止のコスト負担はさらに大きくなっているだろう。

 そのなかで東電が打ち出した17%の企業向け電力料金の値上げ率、10%と言われる家庭用電力料金の値上げ率は、このエネルギー経済研究所の推計値を大きく下回っており、東電がコスト節減にまったく努力していないとは言えない。

 問題は、原発停止を続ける限り、

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筆者

森永卓郎

森永卓郎(もりなが・たくろう) 経済アナリスト、獨協大学経済学部教授

1957年7月生まれ。東京都出身。東京大学経済学部経済学科卒業。日本専売公社、日本経済研究センター(出向)、経済企画庁総合計画局(出向)、三井情報開発(株)総合研究所、(株)UFJ総合研究所を経て、現在、経済アナリスト、獨協大学経済学部教授。専門は労働経済学と計量経済学。そのほかに、金融、恋愛、オタク系グッズなど、多くの分野で論評を展開している。日本人のラテン化が年来の主張。

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