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不透明感拡がる米国経済

藤井英彦 株式会社日本総合研究所 調査部長/チーフエコノミスト

 米国経済は2009年半ば以降、回復軌道を進んできたが、このところ先行き不透明感が拡がってきた。まず雇用統計だ。雇用者数の増勢は昨年12月来の前月比20万人強のペースから3月12万人に半減した。破産件数でも変調の兆しだ。季節調整を施してみると、10年半ば以降減少してきたが、本年に入ると一転して増勢だ。

 根底には景気回復力の弱さがある。その点を確認するためにリーマン・ショック後の推移をたどると、需給ギャップはまず09年春まで急拡大した。ピークは09年半ばの▲8.1%だ。その後、緩やかながら縮小傾向に転じ、10年10~12月期には▲6.3%となった。しかし、11年に入ると再び拡大し10~12月期は▲6.7%だ。09年半ばの既往ピークは下回るものの、未だ過去最悪の水準だ。ちなみに第一次石油危機直後のピーク、75年7~9月期でも需給ギャップは▲4.9%に過ぎない。

 昨年に入って需給ギャップが拡大した主因は成長ペースの鈍化だ。それはまず、輸出が増勢から昨年来、一進一退に転じたからだ。ドル安の効果一巡に加え、新興国経済は引き続き高成長を持続するとみられるものの、09~10年のようなリーマン・ショックの反動による急成長は不可能だし、今後も見込み薄だ。外需頼みに限界が見えてきた。

 第2は経済対策が持つマイナス影響だ。

 オバマ大統領は就任直後の09年2月、ARRA(American Recovery and Reinvestment:米国再生再投資法)を成立させ、総額8千億ドルの経済対策を打ち出した。眼目は景気浮揚効果だ。しかし長い目でみると、

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