榊原英資
2012年05月05日
一時、1ドル75円まで円高になった円・ドルレート。ヨーロッパ危機が一応落ち着いたということで80円台に戻し、ここしばらくは80円台の前半で推移していたが、1日の東京外国為替市場で、円は一時、1ドル=79円台後半まで値上がりした。東京市場で80円よりも高くなったのは2月24日以来、約2カ月ぶり。再び70円台で推移する可能性も否定できない。
ヨーロッパ危機は必ずしも一時的なものではなく、構造的側面が大きい。ギリシャへの巨額の支援でなんとかギリシャの破綻は回避したものの、問題がスペインやポルトガル、さらにはイタリアと南ヨーロッパ全域に波及する可能性が懸念され始めている。一時、1ユーロ110円台まで戻した円・ユーロレートも再び100円を目指した展開になってきている。
アメリカ経済の回復にも若干の翳りが見えてきている。3月の非農業部門の雇用の増加は12万人と予測の20万人を大きく下回った。また失業保険も申請数も予想を超えて増加している。FRBのバーナンキ議長も景気の先行きに対して慎重な見方を示し始めている。アメリカもまた、
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