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東京女学館大学閉校騒動の教訓 大学をガラス張りにせよ

常見陽平 評論家(雇用・労働、キャリア、若者論)

 東京女学館大学が揺れている。4月30日付の日本経済新聞が、来春の新入生の募集を停止し、在校生が卒業する2016年3月をもって閉校することを報じた。

 少人数制で学生の力を伸ばす教育、優れたキャリア教育で知られ、高い就職率を誇る同校は大学関係者からも注目されていた。とはいえ、少子化が進む中、大学も淘汰の時代だと言われている。この知らせを聞いた際に、私は驚き、残念だと思う一方で、「そういう時代だからしょうがない」「勇気ある撤退だ」と思っていた。

 しかし、その後、大学教職員や在校生、OGからの話を聞き、私は別の意味で耳を疑った。「こんなに雑に大学を潰していいのか?」と感じたのである。彼らからの証言をまとめるとこうなる。

■東京女学館大学閉校をめぐる問題の整理■

・学長は25年度募集停止の文部科学省への報告用紙には教学側として教授会または評議会の決議を入れる項目があるのにも関わらず、後日報告として決議を入れずに報告。文科省もそれを受け付けた。大学の評議会、教職員への説明会よりも前にそれを行った。

・日報道では25億円の累積赤字と報じられたが、学校法人としては黒字で内部留保を増やしており、20億円の資産がある。

・定員割れが続いていたのは事実だが、それでも約6割の充足率。全国の「定員割れ」の大学は223校で、私立大学法人全体の39.0%(前年度比0.7ポイント増)に上る。赤字だからといってすぐに閉校とはなっていない。定員充足率が5割までは文部科学省の補助金がもらえる上、5割を下回った年度に経営計画を策定すれば補助金が交付されるように文科省も支援策を打ち出している。やや決断が早すぎないか?

・定員割れの原因として、初年度納付金合計が179万円(授業料120万円、施設費24万円、入学金35万円、女子大は一般に130万円台に集中)という高額となっていることにも原因があることが学内ではずっと指摘されてきたが、見直しは行われなかった。金額を下げても定員に届けば黒字化する試算もあるという。

・学生・保証人への説明会の通知は4月28日発送、5月1日に到着で、すでに学校に行っている学生は知らないまま1日午後に開催。保証人も1日に到着、翌2日からの説明会となった。しかも、当初の理事会案では、説明会は5月1日・2日の2回で終了の予定であった。遅い通知、翌日の開催、連休の谷間での開催には不信感も残る。卒業生にも通知が発送されたが、募集停止のお知らせだけで説明会の日程は書かれていなかった。ことを荒立たてないための意図を感じる。

・学校側の説明では、教職員は4年後に全員解雇。しかし、学長、学長補佐は、責任をとって辞めるとは言わない。なお、4月の時点で他大学から新しい講師も雇っていた。

 当然、在校生やその保護者、OGが黙っているわけがない。数回に渡り開催された説明会には多数の参加者が押し寄せ、 ・・・ログインして読む
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筆者

常見陽平

常見陽平(つねみ・ようへい) 評論家(雇用・労働、キャリア、若者論)

人材コンサルタント。株式会社クオリティ・オブ・ライフ フェロー。HR総合調査研究所客員研究員。実践女子大学・白百合女子大学・武蔵野美術大学非常勤講師。北海道札幌市出身。一橋大学卒業後、株式会社リクルート入社。とらばーゆ編集部、トヨタ自動車との合弁会社などを経て、玩具メーカーに移り新卒採用を担当。2009年株式会社クオリティ・オブ・ライフに参加。2012年に退社し、フェロー。就活、サラリーマンの今後をメインテーマに講演、執筆、研究・調査、コンサルティングなどに注力し、面白い社会人をデビューさせるべく奮闘中。著書に『「就社志向」の研究』、『普通に働け』など多数。最新刊に『アラフォー男子の憂鬱』(共著)

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