2012年07月09日
江田憲司の「財務省のマインドコントロール」(幻冬舎)、中野雅至の「財務省支配の裏側」(朝日新書)、高橋洋一の「『借金一〇〇〇兆円』に騙されるな!」(小学館101新書)など、このところ財務省批判、行政批判の本が相次いで出版されています。
江田は旧通産省、中野は旧労働省、高橋は財務省出身の元官僚たちです。財務省は予算編成権を握り、歳入面でも税と国債発行を担当、財政全般を仕切る省庁のなかの省庁です。現在、金融は金融庁に移っていますが、かつては銀行局、証券局などが金融行政も担当し、財政・金融全般をコントロールしていた巨大官庁でした。金融が金融庁に分離された後も2つの組織のうちには頻繁な人事交流があり、財政・金融政策はそこそこ連携して動かされています。
江田や中野の財務省批判にはかつての経験を背景にしたこの巨大省庁に対するコンプレックスや怨念が感じられます。同じ役人なのに一段高いところから予算を査定するなどけしからんということなのでしょうか。
確かにアメリカでは財務省は予算編成に係わらず、行政予算管理局と議会予算局がその役割を担っています。日本に比べ予算編成に関して議会の関与の度合いが相当程度高いのです。しかしアメリカ以外の先進国、例えばイギリスやフランスでは財務省が予算編成を担当し、財務大臣は大統領・総理大臣に次ぐナンバー2のポストになっています。
日本の場合、12月末に閣議に提出される財務省原案がほとんど修正されることなく国会を通過することが多いので、事実上、予算を編成しているのは財務官僚たちで政治家ではないということができるのでしょう。もちろん、
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