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BMWとの提携でFCVへ舵を切ったトヨタ

永井隆

永井隆 ジャーナリスト

 環境技術を総合的に持つトヨタ自動車とエンジンへのこだわりが強い独BMWは、提携を拡大する。

 主要な内容は以下の4つだ。

(1)燃料電池車(FCV)

(2)ハイブリッド車(HV)など電動化技術

(3)軽量化技術

(4)スポーツカー

 両社は協業していくが、(1)と(2)はトヨタ主導でBMWに供与され、(3)と(4)はBMW主導となるだろう。

 両社は昨年12月、BMWからトヨタへのディーゼルエンジン供給と、リチウムイオン電池の共同研究で合意していたが、今回は“いの一番”にFCVが入ったのは特徴だ。

 トヨタの狙いは、BMWを巻き込み環境車戦略の中心としてのFCVを、世界の中で先行させることである。

 燃料電池とは、タンクにためた水素と空気中の酸素とを化学反応させて電気をつくる発電装置。中学校の理科の実験でやった水の電気分解を思い出していただきたい。水に電気を加えることで酸素と水素が発生した。燃料電池は、この逆の流れである。

 FCVは、発電装置である燃料電池を積んだ電気自動車(EV)だ。走行中に水しか排出しない“究極のエコカー”とされ、EVと違い一度水素を充填すればガソリン車並かそれ以上の航続距離を得られる。FCVの基本技術は、二つのエネルギー源を制御・管理するハイブリッド技術だ。

 HVをもつトヨタとホンダが世界に先駆けてFCVを開発したが、2002年には日本の政府機関にともにリースでFCVを納車した。ただし、このときの車両価格は、1台が1億円とも言われていた。しかし、触媒に使う白金の使用量を減らすなど技術革新を重ね、2015年には500万円以下でトヨタはセダンタイプのFCVを一般発売する計画でいる。

 FCV普及には、水素ステーションなどインフラ整備は欠かせない。水素は気体であるため、液体燃料と異なり扱いも難しい。販売台数を増やしていく必要があるが、そのための最初のパートナーとしてトヨタはBMWを選んだ。

 トヨタは、EVは小型車と位置づけて開発を進めている。EVは機構はシンプルだが、二次電池であるリチウムイオン電池のエネルギー密度は小さく、長い航続距離を現在の技術では確保できない。二次電池は酸化還元反応を利用して充放電を行いモーターの動力としているが、どうしても限界はある。

 また、原子力発電所の高い稼働率が見込めない日本やドイツでは、 ・・・ログインして読む
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筆者

永井隆

永井隆(ながい・たかし) ジャーナリスト

ジャーナリスト。1958年生まれ、群馬県桐生市出身。明治大学卒。1992年、勤務先の新聞社が実質的に経営破たんし、新聞を休刊。これに伴い失業を経験。93年にフリーで独立。新著に「サントリー対キリン」(日本経済新聞出版社)。著書に「人事と出世の方程式」、「国産エコ技術の突破力!」、「ビール最終戦争」、「敗れざるサラリーマンたち」など。

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