メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

RSS

 先月来、穀物価格が急上昇している。大豆は昨年末の1ブッシェル当たり11ドルを底にほぼ月を追って値上がりし、4月末に同15ドルと過去最高値を更新した。5月は弱含んだものの、6月に入って再び騰勢に転じた。7月第2週には同16ドル台だ。コーンは同7ドル台、小麦は同8ドル台に乗り、いずれも最高値が間近だ。

 食料の値上がりは単なるインフレ問題でない。とりわけ貧困層を多く抱える途上国では最優先で対処すべき重要な政策課題だ。社会の不安定化に繋がりかねないからだ。

 昨年初に起きたアラブの春もロシアやウクライナの小麦禁輸が導火線の一つだった。さらに今日、中東の盟主サウジアラビアが、失業や貧困問題が燻るなか、皇太子をはじめ王族の健康問題を抱える現状を重ねてみれば、エネルギーへのインフレ懸念拡大すら否定出来ない。

 それでは値上がりの原因は何か。

 主因は主要生産国の旱魃だ。小麦を例にとると、27カ国を合計するEUを別にすれば、最大の生産国は中国で世界の17%を占める。次いで13%のインド、8%強のロシア、8%弱のアメリカと続く。合計すると46%だ。4カ国が世界のほぼ半分を生産する。なお、ロシアの穀倉エリアは、西はウクライナ、東は北部カザフスタンに拡がる黒土地帯だ。両国ともシェアは3%だから、3カ国を合計すると14%でインドを凌駕する。両国を足した6カ国のシェアは51%で過半に及ぶ。そこに雨が降らない。

 まず中国の穀倉地帯は華北平原だ。7省の主要都市について降水量を平年と比べると、今春までは平年並みだったが、5月▲0.5インチ、6月▲1.6インチと月を追って降水不足が加速した。米作が盛んな華南エリアでも6月の降水量は平年比▲1.8インチだ。

 次いで、 ・・・ログインして読む
(残り:約894文字/本文:約1619文字)

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

藤井英彦

藤井英彦(ふじい・ひでひこ) 株式会社日本総合研究所 調査部長/チーフエコノミスト

【退任】(株)日本総合研究所 理事/チーフエコノミスト。83年東京大学法学部卒業。同年住友銀行入行。90年より(株)日本総合研究所、11年から現職。共著に「オバマのアメリカ 次なる世界経済の行方」(東洋経済新報社)、「2006 図解 日本総研大予測」(徳間書店)、「図解 金融を読む辞典」(東洋経済新報社)。

藤井英彦の記事

もっと見る