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LIBOR不正操作、重大犯罪に多数の訴追必至

吉松崇 経済金融アナリスト

 英バークレイズ銀行が、LIBORと呼ばれる指標金利を不正に操作したという問題が波紋を広げている。6月27日、バークレイズ銀行は不正を認め、イギリスの金融監督機関FSA(Financial Services Authority)、アメリカの先物市場監督機関CFTC(Commodity Futures Trading Commission)及び司法省への、総額2億9千万ポンド(4億5千万米ドル)の罰金支払いに同意したが、その後、同行会長とCEOが辞任に追い込まれた。

 今のところ、バークレイズ銀行に焦点が当っているが、これは氷山の一角である。バークレイズ銀行単独では、LIBORを操作することが出来ないからだ。他の大手銀行との共謀が疑われており、英米の司法当局、更にはEUの独占禁止取締当局が捜査に乗り出している。米欧の10を超える銀行が捜査の対象に挙がっている、と言われる。

 ところで、LIBOR(「ライボー」と発音する)とは、一体どんな金利で、どのようにして決まるのだろうか。この指標金利で、如何に不正操作が行われたのだろうか。

LIBORとは何か

 LIBORとは、London Inter-Bank Offered Rate の略語であり、「ロンドン市場での銀行間資金取引の金利(オファード・レート)」という意味である。「オファード・レート」とは、「或る銀行が、一定の纏まった金額を銀行間市場で調達しようとする際に、他の資金余剰銀行からオファーされる金利」という意味である。一般に、銀行は資金の過不足を銀行間市場で最終的に調整する。従って、LIBOR は、(それが正しい金利であれば)銀行の限界資金調達コストだと言える。

 現在問題となっている指標金利は、英国銀行協会(BBA: British Bankers Association)が、毎日、ロンドン時間午前11時現在で集計した金利(オファード・レート)をその直後に発表している、”BBA LIBOR” と呼ばれるものである。10種類の通貨(米ドル、ユーロ、円、英ポンド、等々)に付き、15種類の期間(オーバーナイト、1週間、3週間、1カ月から12カ月まで)毎に発表される。

 例えば、米ドルのLIBOR は、BBAが指定する米欧日の主要18行が、毎営業日、BBAに対し、上記15種類の期間毎に報告し、BBAはそれぞれの期間毎に、報告された18の金利のうちの上下25%をカットして、残りの平均値を”BBA LIBOR” として公表する。つまり、金利の低いほうから4行と、高いほうから4行の報告は採用されずに、残り10行の平均値が採用される。米ドル以外の通貨の場合も、BBAが指定する銀行及び銀行数が異なるものの(例えばユーロでは15行、円では13行)、「上下25%をカットして、残りの平均値を採用する」という計算方法は同じである。先に、「バークレイズ銀行単独では、LIBORを操作することは出来ない」と述べたのは、こういう訳である。

 ところで、今も昔も、ロンドンは、世界で、最も重要な国際金融センターである。国際金融業務を行おうとする銀行は、先ず、 ・・・ログインして読む
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筆者

吉松崇

吉松崇(よしまつ・たかし) 経済金融アナリスト

1951年生まれ。1974年東京大学教養学部卒業。1979年シカゴ大学経営大学院(MBA)修了。日本債券信用銀行(現あおぞら銀行)、リーマン・ブラザース等にて30年以上にわたり企業金融と資本市場業務に従事。10年間の在米勤務(ニューヨーク)を経験。2011年より、経済・金融の分野で執筆活動を行う。著書:『大格差社会アメリカの資本主義』(日経プレミアシリーズ、2015年)。共著:『アベノミクスは進化する』(中央経済社、2017年)。

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