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中国、ウルトラ成長期の終焉

小原篤次

小原篤次 大学教員(国際経済、経済政策、金融)

世界経済の機関車への期待

 中国の2012年第2四半期(4~6月)の実質国内総生産(GDP)成長率が前年同期比7.6%になった。中国のGDP成長率は6四半期連続で鈍化しており、2009年第1四半期(1~3月)以来3年ぶりの低水準で、中国の成長に期待する先進国からも、懸念する声が高まっている。年間の成長率が1999年(7.6%)以来の低水準になる可能性もある。

 世界金融危機から4年が経過しようとしている。中国にとっては北京五輪や四川大震災から4年が経過した。欧州は債務危機を抱え、米国もサブ・プライムローン問題以降、力強い経済回復には程遠い状況にある。かつての米国、日本やドイツのように、世界経済の機関車として、GDP世界2位になった中国に期待する声が出やすいのである。

 経済成長のけん引役は引き続き、政府と民間の投資である。1~6月の固定資産投資は前年比20.4%増加している。

3年半ぶりの利下げ――人民銀行

 金融緩和も本格化している。中央銀行にあたる中国人民銀行は昨年11月以降3回、銀行の預金準備率を引き下げている。6月8日には3年半ぶりの利下げも実施し、7月6日には再び利下げを実施したほか、金利自由化への措置も打ち出している。金融緩和の重要指標のひとつである月間の新規融資金額も増加傾向を見せ始めている。

拡大

 今年秋、5年に一度の中国共産党の党大会が開催される。中国共産党が党大会を開催される年は、GDPも延びる傾向があった。1983年以降2012年(IMF予想値)まで、5年ごとにグラフにした(図表1)。経済成長のポリティカル・サイクルと呼ばれていた。党幹部が交代する5年目は単純平均で11.1%、1年目は同10.6%と、他の年に比べて成長率が高い傾向が確認できる。経済成長がこうした政治的サイクルで説明できなくなること自体は、悪いことではない。

4兆元の景気対策から4年

 景気対策で、新規のインフラプロジェクト計画が実施に移される可能性もある。ただ、中国政府としては、単純な高成長より、地域格差などバランスある発展に配慮したいところである。拙速な建設で、高速鉄道の事故や、格差のシンボルである住宅用マンション価格の高騰も避けたい。

 中国政府が2008年11月に発表した4兆元(当時約57兆円)もの大型の景気刺激策には、

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筆者

小原篤次

小原篤次(おはら・あつじ) 大学教員(国際経済、経済政策、金融)

長崎県立大学国際情報学部准教授。1961年、大阪府堺市生まれ。同志社大学法学部卒、国立フィリピン大学修士。朝日新聞社、チェースマンハッタン銀行(現JPモルガン・チェース)、みずほセキュリティーズアジア初代株式調査部長、みずほ証券リサーチ&コンサルティング投資調査部副部長を経て現職。【2015年12月WEBRONZA退任】

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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