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最も警戒すべき中国経済のバブルの崩壊

榊原英資 (財)インド経済研究所理事長、エコノミスト

 ヨーロッパ危機がギリシャからスペイン、さらにはイタリアに波及する気配を見せるなかで、アメリカの景気回復も腰折れの様相が強くなってきている。中国の2012年4~6月の実質GDPの成長率は7.6%と過去10年の平均10%前後から大きく落ち込んできている。インド経済も中国同様に失速気味。2012年1~3月期の実質GDP成長率は前年同期比で5.3%と、リーマンショック後最低の水準に落ち込んでいる。

 IMFの7月16日の世界経済予測によると2012年の世界経済の成長率(実質GDP)は3.5%と4月の予測から0.1%減少。特にユーロ圏ではマイナス0.3%の成長が予測されている。2010年が5.3%、2011年が3.9%なので、このところ減速が続き世界同時不況の状況。

 新興国の成長率も2010年7.5%、2011年6.2%から2012年には5.6%まで落ち込んでいる。IMFの中国とインドの2012年の成長率予測はそれぞれ8.0%、6.1%だが、前述したように直近の数字はこれを下回っている。

 日本は2011年に震災と津波でマイナス0.7%のマイナス成長から、復興需要で当面2%を超える成長が予測され、先進国の中では米国を上回るとされている。そうしたこともあって円高が進んでいて、ユーロ・円は95円を下回ってきている。ユーロ危機が当面解決される見通しは立たないので、1ユーロ80円台になることも十分にありえるのだろう。ドル円は、しばらくは1ドル75円から80円のレンジだろうが、近い将来80円を上回る可能性はないのではないだろうか。

 将来の円安を予想する向きも少なくないが、筆者は同意しかねる。近未来、つまりここ1~2年は円高の継続、それ以降は極めて不透明というのが現状から見える構図ではないだろうか。世界的な金融緩和の中でも

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