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BS朝日 日本再生プロジェクト「白熱セミナー 成功への道」 田中良和・グリー社長 基調講演

WEBRONZA編集部

 「日本再生プロジェクト 白熱セミナー 成功への道」

 BS朝日と朝日新聞WEBRONZAのコラボレーションで生まれた、公開収録+イベントという新機軸の番組。各界のキーパーソンが一堂に会し、成功の秘訣を熱く語ります。その後、会場の一般参加者からの質疑に応答。人生の先達が、質問者の立場に立ってアドバイスします。番組は7月29日に放送されました。それぞれのゲストの方の講演と質疑応答をご紹介します。まずは田中良和・グリー社長です。

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ゲスト

田中良和(グリー社長)

川村康文(東京理科大学教授)

和久井康明(クラレ会長)

MC

伊藤元重(東京大学大学院経済学研究科教授)、下平さやか(テレビ朝日アナウンサー)

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拡大公開収録時のステージの様子

田中良和(グリー社長) 基調講演

拡大田中良和氏

 せっかくの機会でありますので、私が、今までどういうことを考えてグリーという会社を作って、今まで経営してきたのかをお話したいと思います。

 たぶん、日本のここ10年~20年の中で、私のような年代で会社を創業してやっている人というのは、段々少なくなっているのかなと思っています。そこで体験談として、どういう形でやってきたのかということをお伝えすることが、一つのケースとして、参考になるのかなと。ここで、簡単に振り返ってみたいと思います。

 私が、今のインターネットビジネスに興味を持ったのは、中学生から高校生ぐらいの頃です。

 「これから人生どうやって生きていくんだろう」ということを漠然と考え始めていたわけですが、私の実体験として、正直その頃は、余り働くことにポジティブなイメージというのが無かったなと思います。ちょうど1990年代が始まり、いわゆるバブル経済というのが崩壊した頃でした。テレビをつけると、景気が悪いとかリストラされるということが、繰り返し言われているような時代だったのですが、ちょうど時を同じくして、1990年代中盤頃から、アメリカでインターネットのサービスというのが段々と一般的に広がってきていました。

 ヤフーとかアマゾンとかイーベイとか、今では大企業になっているインターネットの会社が、ゼロから創業するのを見まして、その頃私は高校生だったのですが、自分が過ごしている日本の中で、「働くなんてばかばかしいんだ」とか「働いても無駄なんだ」というような話がされているのと対比しながら、働くことに非常に前向きな人たちというのを、人生で初めて見たと感じました。

 そうしたアメリカの人たちが、ビジネスの手法を通じて、何か価値を生み出しながら社会を変えていくことができるんだと、そういうことを一生懸命やりたいんだと言っているのを見て、将来、日本でもインターネットが一般的に使われる時代が来て、そういう風な働き方、考え方が日本にもやってくる時代が来るのであれば、私もそのフィールドで仕事がしたい。そういう風に漠然と考えてはいたのですけれども、当時は中学生、高校生でしたので、そう思っていても、どうやっていいのかよくわからないというところがありました。

 大学生になる頃に、日本でもインターネットが徐々に普及し始めまして、私が大学生になった時にやり始めたのは、インターネットの検索サイトで、「インターネット」という言葉を検索して、それで出て来たホームページを作っている人に、実際に会いに行くということでした。 私は法学部の出身ですので、特にインターネットに詳しい友達というのが周りにいませんでした。

 ただ、すごく興味を持っていましたので、どうしたらいいかなと悩んで、「これはもう調べて会いに行くしかない」と思い、今考えると少し危ない大学生なんですけれども、ホームページを作っている人に、「自分もインターネットに非常に興味があるので、是非会いたい」とメールをして会いに行っていました。それはビジネスでもないし、お金儲けでも何でもないのですけども、「会いたいんです」っていうメールを送って、突然会いに行ったりしてました。

 その後、大学を卒業して、初めに入ったのが、ソネットというソニーのインターネット部門の会社でした。その後、約1年くらいで、楽天に転職しました。

 楽天は、今は大きな会社ですけども、私が転職した頃は、まだ50人か100人くらいの規模で、誰に聞いても知らないような会社でした。そういったベンチャー企業で、インターネットが成長すると共に、イーコマースも成長するといいなと思いながら働いていました。

 楽天には5年ばかりいましたが、その頃にたまたま、今、やっているサービスを知りました。グリーは「ソーシャル・ネットワーキング・サービス」というのをやっているのですが、たまたま、アメリカでそういうサービスがあるということを聞いて、日本にもこういうサービスがあったらいいなと思い、夜中に1人でこつこつ半年くらいかけて、プログラミングを覚えながら、何となく趣味として、私個人で作り始めました。その後、1年くらいの間に、口コミだけで10万人くらいの方が、私の作ったサービスを使ってくださるようになりました。そうした中で、ある日、私が会社を作ったきっかけとなった一通のメールが届いたのです。

 それは、「このサービスは、個人がボランティアで運営していると聞きました。万が一、田中さんに何かあった時に、サービスはどうなってしまうのでしょうか? 何とかしてください、困ります」というものでした。

 今まで自分が生きて来た中で、10万人の方に対して何かのサービスを提供して、その方々が自分のやっていることを求めて、こんなにも必要としてくれてることがあっただろうかと振り返って考えた時に、これは非常に尊いなと思いました。そういった風に思ってくださる方々に使われているサービスを存続させていきたいなと感じ、今の会社を作ったのが創業の経緯です。

 私としては、それまで別に起業したいと思っていたわけではなく、楽天ではサービスを企画したり、プログラミングを書いたりという仕事をしていましたので、会社を作ってからは結構苦労の連続でした。ただ、非常によかったなと思っていますのは、楽天がまだ6人くらいの時に、オフィスに遊びに行ったことです。

 私が入社した時には50人くらいだったのですが、本当に初期の頃というのを見たことがあり、そういった数人で始まった会社が、私が辞める頃でも1000人から2000人の会社になっていましたので、そういう風に大きくなるんだということを実体験することができたということが、非常に後々はよかったなと感じています。

 成長する会社にたまたまいたことで、そういったことがどうやったら出来るのかを、目の当たりにできたこと、そもそも頑張れば出来るということ、頑張るということを前向きに捉えられたことが大きかったと思います。なので、今、グリーにも様々な人が働いていますが、サービスが成長して、多くの人に求められて、会社が成長して、そして産業としても成長していくということが、やっぱりあるのだと、ちゃんと再現して伝えていきたいと思っています。

 今、インターネットがなかった頃が、思い出せないという感覚が多くの人にあるかもしれません。もはやEメールがなかった、もしくは検索エンジンがなかった頃に、物をどうやって調べていたのかと。それくらいインターネットは大きく世の中を変えているのです。

 私は現在、35歳ですけれど、あと2~30年くらいは働きたいなと思っていますので、自分の残りの時間を使って、もっとインターネットを通じた色々なサービスで、世の中を変えて行けるといいなと思っています。

■質疑応答

伊藤 お話しを聞いて非常に印象的だったのは、社会を変えたいとか、あるいは成長のチャンスがあるとかね、非常にダイナミックで、若いエネルギーを感じたんですけど。

大学生の頃の田中青年が、インターネットをやりたいということで、その道のプロの所にわざわざ行って話を聞いたり、そういう気持ちを強く持ったというのはどうしてなんですかね?

田中 子供の頃から、テレビを見ていると「将来は年金がなくなる」とか「日本は新興国に抜かれる」とか、今、話されていることが20年くらい前の、私の高校時代からテレビなどで言われていました。その中で、このまま普通にやっていると、余りいいことがないんじゃないかなというような気がして、とにかく、人一倍頑張らないとまずいのかなという、切迫感を持って人生に取り組んでいたというのはあります。

司会 さて、事前に、今日お集まりのみなさんにメールで質問をお寄せ頂きました。

その中から一つ、私からご紹介させて頂きます。

田中社長への質問、40歳、男性、自営業の方から頂きました。

「10年後のグリーはどうなっていると思いますか?」

田中 そうですね、答えとしては、まだ分からないという所が若干あります。私たちの会社はまだ8年しか経っていませんが、例えば8年前に今の私たちの会社を想像出来ていたなら、かなりの予知能力があるというレベルかもしれません。10年後は、今、予想ができないような何かを成し遂げられていれば、良いなと思いますし、逆に今、思い描けるようなことをやっているようでは、まだまだなのかなと思います。

伊藤 それだけ変化が激しいということですよね。是非、会場の方にお話しを伺ってみたいのですけれど、この中にもベンチャー企業を立ち上げたいとか、独立してビジネスをしたいっていう夢をお持ちの方がたくさんいらっしゃるかと思うんですけど、もしそういう方がいらしたら、手を挙げていただけますでしょうか。

〈27歳男性 自営業の方より質問〉

 私は今、田中社長が創業された年齢とちょうど同じ年齢になるんですけど、私自身も以前ゲーム会社に勤めておりまして、今は独立してゲームを開発していますが、やっぱり個人では限界があるなと感じていて、もう株式会社化するしかないかなということを思っているんですけれども、実際にサービスを作る以上に、きっと難しいことになってくるんじゃないかなと。

伊藤 今は、まだ1人でやってらっしゃるわけですか?

男性 はい。今は1人でやっております。

伊藤 しかし、いずれは組織にして大きくしたいんだけど、そこもいろいろ悩ましいこと

もあると?

男性 そうですね。

伊藤 田中さん、どうですか?今の話伺って…

田中 まずは、やってみるのがいいのかなと思います。私もよく思うのですが、別に誰かのやり方が、正しいとか、これが正解だということがあるわけではありませんし、自分でやってみながら、自分なりの成功、パターンというか、うまくいく自分なりの考えというのを発見していくのがいいと思います。

 その中でいろいろ失敗することもあります。基本的に新しいことをすると、高確率で失敗しますので、失敗しても失敗しても諦めないというように、やって行かれるといいかなとも思います。

男性 わかりました。ありがとうございます。

伊藤 失敗すると、がっくりすると思うんですけど、どうやって立ち直ったらいいんですかね?

田中 私は、家に帰ってビールなどを飲んで寝るという、古典的な手法によってストレスを解消していますね。

伊藤 他にもなにか新しいことをやってみたいとか、チャレンジしたいと考えている方がいたらお話し聞きたいのですが。

〈37歳男性 会社員〉

 私は37歳で、コンピューターグラフィックの会社に勤めているんですけど、そろそろ私も独立しようかと思っていまして。ただ、37になって私すごく不安です。田中さんは不安などなかったのでしょうか、20代の頃に。

田中 不安は今でもあります。ただ、そういう不安を乗り越える能力というのを、ちゃんと着実に、頑張って付けていくしかない。それこそ会社を作った頃は、社内のいろんな人と情報を共有しなければと思っていまして、「毎日不安なんだよね」ということまで、毎日共有してたのですけれど、そうしたらみんなが不安になってしまって、これは共有してはいけないんだなと気がついて、それからはどっしり構えるようにしています。やっぱり、不安に思うというのは当たり前のことですし、自分なりにそういったことへの方法論をみつけることが求められるかなと思います。

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