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移ろいやすい豊かな隣人・中国、世界一市場の可能性と危うさ

小原篤次 大学教員(国際経済、経済政策、金融)

 2年ぶりに上海を訪れた。上海市には5万人を超える日本人が長期滞在している。出張者・旅行者も含めると、10万人と言われ、ニューヨークやロサンゼルスを抜いて世界最大の日本人居留区に成長しつつある。上海は21世紀のリトルトウキョウだ。日本料理店のほか、ファミリーマートとローソンの日系コンビニエンス・ストアが増加するなど、日本人ビジネスマンの利便性も高まっている。

 上海万博直前のような建設ラッシュ、そして万博期間中、地方都市からの団体客による、日本人には異様に見えた喧騒は消え、街の住民たちが少し落ち着いた。痩身、ヨガ、ネールなど美容系の看板や広告が目立ち、市場の成熟化を感じさせる。移ろいやすい世界最大級の消費市場チャイナの行方を考える旅でもある。

 地下鉄中山公園駅。上海市の2つの空港、浦東空港と虹橋空港を結び、浦東の超高層オフィスビル群のほか、観光ストリートの南京東路などを沿線に持つ2号線のほか、3号線、4号線が交差する。30階、40階建てのマンションが当たり前のエリアだ。そして四つ角の交差点の複合ビルには、すべて大型家電量販店が入居する。上海の量販店の激戦区のひとつだ。

陳列される携帯電話は700種類以上

 日本の家電量販店ラオックス買収で知られる中国家電量販店大手の蘇寧電器も一角に巨大店舗を出店している。一階は、デジタルカメラと携帯電話のフロアである。とりわけ目立つのは携帯電話の展示スペースである。数えて見ると、700種類以上の機種が陳列されている(写真)。

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 日本では、通信会社が支払う販売支援金制度が強力だったため、携帯端末が実質無料などと、通信会社の店頭で携帯電話の端末を選ぶのが一般的である。これに対して、SIMカードの入れ替えが可能でプリペイドカード方式が普及する中国では、通信会社にさほどしばられることなく、携帯電話が家電のような形で販売されてきた。通信会社主導の日本ではありえない商品もある。複数のSIMカードを内蔵することで通信会社を使える機種がある。通信回線を通話とインターネット接続を使い分けることも出来る。

米国を超え世界一のスマホ市場へ

 日本メーカーでは、エリクソンとの携帯電話合弁事業を解消したソニーが傘下の映画会社が配給する映画「スパイダーマン」のキャラクターを使って宣伝したのが目立った。顧客が集まっていたのは、サムソンとアップルのコーナーだった。現在、世界のスマートフォン市場を競う上位2社だ(図表1)。日本メーカー同士が競争するデジタルカメラ販売スペースと対照的である。キャノン、ニコンなどデジタルカメラのブランド力が携帯電話で活用できないのかという思いがよぎる。

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 米国調査会社IDCは、中国のスマートフォン(多機能携帯電話)出荷台数が2012年、米国を抜くと予想している。2016年には、1位の中国が20.2%、インドが3位(9.3%)、ブラジルが4位(4.7%)と予想している。

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筆者

小原篤次

小原篤次(おはら・あつじ) 大学教員(国際経済、経済政策、金融)

長崎県立大学国際情報学部准教授。1961年、大阪府堺市生まれ。同志社大学法学部卒、国立フィリピン大学修士。朝日新聞社、チェースマンハッタン銀行(現JPモルガン・チェース)、みずほセキュリティーズアジア初代株式調査部長、みずほ証券リサーチ&コンサルティング投資調査部副部長を経て現職。【2015年12月WEBRONZA退任】

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