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領土をめぐる混乱、大局を見据えた大人の対応を

中口威 内外情勢アナリスト

頻発する領土をめぐる混乱

 2010年9月尖閣諸島海域での中国漁船衝突問題は記憶に新しい。また同年11月には、露メドベージェフ大統領(当時)が北方領土の国後島を訪問している。

 そして本年になり7月初めには、メドベージェフ首相が国後島を再訪し、8月には、韓国李明博大統領が竹島を訪問、さらに、香港の活動家が尖閣諸島周辺の領海を侵犯し魚釣島に上陸している。

 北方領土、竹島、尖閣、それぞれの領土には個別の異なる歴史と背景がある。

 当事者間にさまざまな言い分と議論があることを承知のうえで、敢えて経緯を簡単に整理すると次のようになる。

 北方領土は、先の大戦の結果として日本が施政権を放棄、旧ソ連が実効支配をはじめ、現在はロシアが引き継いでいる。

 竹島は1905年正式に島根県に組み入れられ、1951年9月に調印されたサンフランシスコ平和条約でも、日本が放棄する対象には含まれていない。にも拘わらず、日本が連合軍統治下にあった1952年1月、韓国が李承晩ラインを宣言し一方的に実効支配を始めたものである。

 尖閣諸島は1895年日本が沖縄県に編入し、戦前は、かつお節製造業を営むなど住民もいた。大戦後米国の施政下におかれたが、1972年沖縄返還とともに尖閣諸島も日本に返還されている。中国がこの島の領有権を主張し始めたのは、1960年代後半同島海域での石油などエネルギー資源の賦存が指摘されて以降で、1970年代の初めからである。

 それゆえ、北方領土の返還はロシアとの交渉による合意が前提となる。竹島については、歴史的・国際法的な観点から透明・公正な議論を求めるべきであり、その意味で、ICJ(国際司法裁判所)への単独提訴手続きを進めるのは正しい選択である。尖閣については、引き続き日本固有の領土であることを主張し続けるとともに、今後とも断続的に発生するかもしれない領海侵犯などを阻止するため、海上保安庁の警備能力や自衛隊の西方諸島防衛能力の強化を進めればよい。

望まれる大局を見据えた大人の対応

 以上を基本認識として踏まえたうえで、よく留意しておかなければならないのは、領土問題というのは当時国政府にとって、相手国とのさまざまな関係ならびに自国民の意識(ナショナリズム)の時として相反する二つの要素に同時に配慮しなければならない非常に厄介なテーマであるということである。

 例えば中国の場合、今や数多くの日本企業が進出し活動しており、

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筆者

中口威

中口威(なかぐち・たけし) 内外情勢アナリスト

【退任】内外情勢アナリスト。1970年伊藤忠商事入社、鉄鋼原料部配属。資源開発大学校研修を経て、76~80年鉄鉱石事業会社出向(豪州駐在)。帰国後は資源開発業務を担当後、85~87年 日本商工会議所・東京商工会議所出向。帰社後は、海外企画統轄部などを経て、92年10月政治経済研究所に配属。以降経営情報室、産業調査室、グローバル・センサー編集長などを歴任。約20年間調査情報業務を担当し内外情勢分析業務に従事。2012年3月末伊藤忠商事を退社。

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