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「ガリガリ君リッチコーンポタージュ」に見る、さとり世代の消費行動

常見陽平

常見陽平 千葉商科大学国際教養部准教授 いしかわUIターン応援団長  社会格闘家

 皆さんはガリガリ君を食べたことはあるだろうか。赤城乳業の人気アイスキャンディーだ。1981年に誕生したこのアイスだが、昨年30周年を迎えた。今では、主力のソーダ味だけでなく、リッチシリーズ、年度ごとの限定品など、ラインナップも広がっている。

 このガリガリ君だが、この秋に限定商品として出したコーンポタージュ味(正式にはガリガリ君リッチコーンポタージュ)が空前の大ヒットになっている。同社のリリースによると、この商品は9月4日に発売されたのだが、予測を大幅に上回る販売量になったため、商品供給が間に合わず当面の間、販売を休止することになった。各紙で報道され話題になったので、知っている人も多いことだろう。この事実はTwitterや2ちゃんねるでも話題になった。Facebookを開くと、ご丁寧に友人たちが「オレは買うことができたぞ!」「本当にコーンポタージュ味だ!」などのコメントをつけて写真を掲載していた。

 消費の話をしよう。このガリガリ君コーンポタージュ味という商品と、その売れ方、騒がれ方に最近の消費の傾向が凝縮されていると私は考えている。普段、学生と接する機会が多い立場から言うと、特に若者の消費行動が色濃く現れていると感じる。ここから導き出されるキーワードは、これだ。

 小確幸消費:「ガリガリ君リッチコーンポタージュ」の値段は、通常のガリガリ君の倍、126円する。通常のガリガリ君と比較するなら「プチ贅沢」といえるが、とはいえ、100円前後の手軽なものである。そして、期待を裏切らない。村上春樹が言っていた、「小確幸(小さくても確かな幸せ)」そのものである。

 ネタ消費:アイスキャンディー×コーンポタージュという異色の組み合わせは、開発した赤城乳業には申し訳ないが「ゲテモノ」「キワモノ」のように見えてしまう。ネタとして、食べてみたいという衝動にかられるわけである。また、購入したこと、食べたことを思わずネタとしてソーシャルメディアなどで共有したくなる特性を持っている。

 愛され消費:ガリガリ君は30年をこえ、長きにわたって愛されてきたブランドである。ずっと続けていること(続いていること)、ブランドに対する信頼感、リスペクトする気持ちから、愛される商品になっていると言えるだろう。

 この「小確幸」「ネタ」「愛され」というのが現代の、

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