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 民主党から熱烈なラブコールを受け、日本航空(JAL)の経営再建を指揮した稲盛和夫さんは質素であることを心がける。昼食を吉野家の牛丼で済ませることが多いという(国際線の機内食メニューにも吉野家の牛丼が加えられた)。戦前生まれの創業者らしい。そんな稲盛さんはJALの役職員に徹底的にコスト意識を叩き込んだとされる。

 筆頭株主でガバナンスを効かせてきた企業再生機構は、上場に伴う株式の売却ですべて売却する。課題は、2年という短期間に外部の資金、人材で復活したJALが、かつての行政や政治家依存の親方日の丸体質から、本当に収益重視という民間企業の文化が根ざしたかということだろう。

 航空会社は旅行代理店とともに、文系女子大生の人気の就職先である。JALの破たん後も根強い人気だ。女子大生に経済学や経営学の関心を持たせる絶好のテーマである。

 個人的には、日本航空(JAL)が会社更生法(2010年1月)の申請後、密かに注目していたのがJAL機内誌「Skyward」の連載陣の動向だった。その代表格が浅田次郎氏のエッセー「つばさよつばさ」である。このエッセーは会社更生法申請後も、JAL機内誌に連載が続いた。

 経営破綻した企業と人気作家の関係は外から推測するしかないが、プロの作家が原稿料なしで連載を続けるとは考えにくい。もし私が、経営者だったら、コスト削減のシンボルとして休載を指示する。一方で、「いやいや航空機購入費用に比べると、原稿料は些少。浅田ファンもいるので止められない」。そんな声も聞こえてきそうだ。JALを利用するとき、浅田エッセーの有無を確認するのが、ささやかな楽しみのひとつとなった。

 JALは、不採算路線の廃止や機材の小型化のほか、人員削減、退職者も含めた年金の減額などコストを見直し、5215億円の債権放棄、株式の100%減資のほか、政府からのミルク補給(企業再生支援機構の出資など)で、JALは利益をかさ上げして、上場への道筋をつけた。

 短期間で再上場を果たすとはいえ、 ・・・ログインして読む
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筆者

小原篤次

小原篤次(おはら・あつじ) 大学教員(国際経済、経済政策、金融)

長崎県立大学国際情報学部准教授。1961年、大阪府堺市生まれ。同志社大学法学部卒、国立フィリピン大学修士。朝日新聞社、チェースマンハッタン銀行(現JPモルガン・チェース)、みずほセキュリティーズアジア初代株式調査部長、みずほ証券リサーチ&コンサルティング投資調査部副部長を経て現職。【2015年12月WEBRONZA退任】

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