城繁幸
2012年10月01日
ベビーカー論争を脇から見ていて、筆者は強いデジャブを感じていた。
それは十数年前のことだ。ある企業内で従業員アンケートを実施すると、男性従業員から強い不満が出た。
「短時間勤務や育児休業を取得していた女性とボーナスの差が少ないのはおかしい」
一方、女性の側も反論はあって「短時間勤務とはいえ全力は尽くしている。なにより、育児を理由に会社はマイナス査定するべきではない」というもので、こちらも一見、筋は通っている。
では、正しいのはどちらだろうか。もちろん、考えるまでもなく、男性の意見が正しい。会社は営利組織であって結果の公平さやまして再分配などに一切の責任を持つ必要はない。組織にとって最大限効率的なリソースの分配だけを心掛けておけばよい。だから、成果の少ない従業員への分配を減らすのは(たとえそれが出産や病気といった理由であれ)当然のことだ。
というと、恐らく「そんなカルチャーだから日本の出生率は上向かないのだ!」と顔を真っ赤にしたフェミニストの反論が飛んできそうだが、日本以外の他国であってもこれは常識である。「取締役の半数を女性に」的な優遇策はあっても、成果を無視したリソースの分配まで強制しているケースなどない。
逆に、
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