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 IMF・世銀年次総会は、当初1万人と見込まれていた外国人参加者が2万2000人に上るなど盛会に終わった。ユーロ圏の債務危機や、新興国の成長率低下など、景気の下振れに対する懸念が強まったことが、政策担当者だけでなく、学者やメディアなど幅広い人々の関心を惹きつけたのかもしれない。

 IMF総会では、財政緊縮だけでなく、各国の成長に向けた取り組みが重要であることや、ユーロ圏の協調とセーフティネットの重要性が確認されたが、特にめざましい政策の進展があったわけではない。しかし、以下のような点からみて、多くの要人が日本を訪れた意義はあると思われる。

 第一に、日本の安全性やしっかりした警備体制、サービスの質などをアピールできた。他の都市ではテロ対策のため土日しか公式行事ができないケースもあるようだが、参加者の安全と都市機能を同時に高いレベルで維持していたことには、賞賛の声が寄せられていた。初めて日本を訪れた外人は、「長期デフレで苦しんでいる」というイメージに反して町はきれいで明るい、と語っていた。

 第二に、アジア諸国の成長性とその中での日本の役割を印象づけることができた。日本がイニシアティブをとって開催したミャンマーに対する支援会合はその一例である。筆者が参加したある会合では、欧州のアナリストが、「これから世界は低成長と非国際化の時代に入る」など悲観的な観測を述べていた。だが、新興国の元気の良さや、国際化を加速しようという日本の銀行の姿勢に驚き、「異なる世界」を認識したようだ。

 第三に、日本の政策担当者にとっても、海外のカウンターパートに直に接することができた。尖閣諸島を巡る日中の摩擦でも痛感したことだが、日頃から、相手の性格を知り、本音を言える関係を作っておくことは重要だ。

 やや残念だった点は、日本からのメッセージの発信がまだ不十分に思われたことだ。例えば ・・・ログインして読む
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筆者

根本直子

根本直子(ねもと・なおこ) 早稲田大学 大学院経営管理研究科 教授/アジア開発銀行研究所、 エコノミスト

日本銀行、S&Pグローバル、マネージング・ディレクターを経て現職。主なリサーチ分野は、金融機関経営、日本およびアジアの金融市場、包摂的成長。 早稲田大学法学部、シカゴ大学経営大学院、一橋大学商学研究科、商学(博士) 主な著書に「韓国モデルー金融再生の鍵」「残る銀行沈む銀行―金融危機後の構図」 財務省 関税・外国為替等審議会委員、中部電力、コンコルディア・フィナンシャルグループ社外取締役、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF) 経営管理委員。

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