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復興予算、「便乗」の中にも有益な費目はある

木代泰之 経済・科学ジャーナリスト

 「大震災の復興予算は被災地で正しく使われていない」という批判の声が出ている。大方の国民の理解は、「被災地と関係ない費目(いわゆる便乗予算)にカネを使うから、被災地の復興が十分に進まない」というものだろう。財源として所得税や住民税の増税が予定されているから、なおさら納得できない気分になる。この問題を最初に指摘したNHKの特集番組も、おおむねそんな印象だった。

 しかし、10月25日に公表された会計検査院の報告書を読むと、2011年度に計上した復興予算14兆9200億円のうち、実際に使われたのは54%の8兆900億円に過ぎず、38%の5兆7200億円は使い切れずに翌12年度に繰り越され、国庫に返納された不用額も8%、1兆1100億円にのぼっているという。

 使い切れなかった主な理由は、予算執行の一つひとつが被災者や住民の生活を大きく変えることになるため、地域全体の合意が容易に得られないことにある。自治体職員も工事の前の合意形成の段階で労力を費やし、能力オーバーになって執行残を生みだす一因になっているようだ。

 例えば、住民の高台移転はその典型例とされる。安全確保のために住居を街から離れた高台に移すことは、漁業や漁港周辺で働く人々にとって、場合によっては職業を変えるように迫ることを意味する。合意形成が簡単でないことは想像がつく。

 つまり、復興が進まないのは現地の事情に起因する部分があり、便乗予算のカネを被災地に回せば、復興がはかどるという話ではない。

 便乗予算については、検査院の報告書はどれがその費目かを示してはいないが、全921件の事業内容をたどると、自ずと浮かび上がってくる。

 その一つに経産省の「レアアース鉱山の買収支援・80億円」がある。2010年9月の中国によるレアアース輸出規制で浮上した供給不安を解消するため、中国に替わる鉱山の開発や権益確保のため、JOGMEC(石油天然ガス・金属鉱物資源機構)に出資するというもの。

 復興予算に入れた理由について同省は

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