2012年11月14日
教育予算は日本人の将来を左右する重要な投資である。同時に、教育界にも確かに問題が山積している。田中真紀子・文部科学大臣が噛み付いた個別大学の新設の可否だけではない。いじめ、生徒や学生の質の問題、早期化する就職活動、生活困窮家庭の高校生や大学生の授業料支援。個別大学の可否、学生の質が問われる背景には、少子化への対応がある。少子化による学生数の影響は、幼稚園から大学まで共通する深刻な問題である。個別の教育機関では取り組めない問題に、噛みついていただいたら、世論の支持が集まるのではないだろうか。
■なぜ3年生から就職活動なのか?
デフレの時代、学生の質が低下している時代に、「3年生からの就職活動は禁止」と経済界に吼えるなどは、さしづめ教員には出来ない政治家、特に大臣が担うべきお仕事の範疇ではないだろうか。「社会人への門戸開放を促進して大学生の確保を達成しなさい。さもなければ、定員割れの既存の大学認可を取り消します」という方法もあった。
もうひとつは、竹島問題や尖閣問題で、留学生が来年度から急減するかもしれない。留学生の状況を早急に調査して、必要な措置を講じる。「2014年度から秋入学を実施しなさい」と命じてみる。国際情勢を踏まえながら、大学の国際化を促すことが期待できる。大学は行政機関同様、年度で動いている。今決断しても、高校生や海外への周知も必要なので、どうしても2~3年がかかる。留学生が急減すれば、留学生のウエイトが高い大学院や、留学生入学を条件に新設・改組した大学や学部は定員割れリスクを抱えることになる。
■東大工学部の博士課程、留学生比率45.7%
日本の最高学府東京大学は、世界に通じる研究成果を育む研究機関である。その教育を担う大学院、特に博士課程は留学生に割合が高い。博士課程6037人のうち1370人が留学生で留学生比率は22.7%、修士課程6718人のうち869人が留学生で留学生比率は12.9%である。博士課程の留学生比率は、工学が45.7%、法学政治学が41.5%、情報理工学系が36.3%、農業生命科学が33.1%となっている。
博士課程在籍留学生を国別に見ると、中国人留学生が博士課程在籍者の9.0%にあたる543人、韓国人留学生が8.3%にあたる500人である(図1)。
両国出身者は、博士課程に在籍する留学生総数に対して76.1%を占める。両国出身者に日本の留学生が依存していることは、
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