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 「定年制」が話題になっている。65歳までの定年延長が検討される一方で、政府の国家戦略会議フロンティア分科会がまとめた資料で「40歳定年制」が打ち出されていた。当然、賛否両論を呼んでいる。

 私は、社員が若くして退職し、次の進路に向かっていくための制度も風土もあったリクルート(当時)に在籍していた。97年に入社し、05年の9月末まで在籍し、まさに独立支援制度(であり、事実上の早期退職制度)の一つを使い、31歳で退職した。その後、サラリーマンとして2社経験したが、38歳でフリーランスになった。

 リクルート社は、この手の40歳定年制のモデルケースとして上げられる。同様に、企業を辞めてフリーランスになることが何かともてはやされる社会である。ただ、ここには大きな誤解が存在しているように感じる。40歳定年制の議論が地に足のついたものになるように、あえて半径5メートル以内くらいで起こった実例をもとに常識のウソと、40歳定年でも食べていくためのポイントを整理することにしよう。

40歳で独立、転職して、幸せになれるか?

 私が在籍していた頃のリクルートでは30歳、38歳を基準とした独立支援制度(早期退職制度)があった。なお、正確に説明すると長くなるのだが、これはこの年齢になったら必ず退職というわけではなく、独立支援の額が多くなる基準の年齢だと思って欲しい。また、この制度はいったん廃止になったが、今は違う形式での独立支援制度が存在する。今回の40歳定年制度に近いのは38歳を基準とする方だろう。

 では、38歳以降に退職した人はその後のキャリアに満足しているのだろうか?メディアが喧伝するような、「人材輩出企業」とはまるで違う世界が、そこにはある。別にこれはリクルート社を批判しているわけではなく、今の日本の労働社会において40歳くらいで会社を辞めて転職する、独立するというのは、そういうことだということだ。

 同社を退職した人は起業するというイメージがメディアで流布されているが、体感値ではあるものの、起業して社員50人以上の会社に育てた人というのはあまりお目にかかったことがなく、実際は限りなく個人事務所やフリーランスに近い人だらけである。

 中途市場において、元リクルート社員は人気なので、転職はできるのだが、その企業で活躍できるかというとクエスチョンだ。なんせ、仕事の中身も風土も違うのだから。気づけば転職を繰り返している。給料だって、もともとが相当いいということもあるが、上がることはもちろん、維持することだって大変だ。

 冒頭でもふれたように、これはリクルートという会社の特殊な事例でもなく、ましてや同社を叩いているわけでもなく、40歳前後でキャリアをシフトするということはこういうことなのである。

35歳転職限界説、転職のハードルとどう向き合うか?

 40歳定年制で注目されるのは、35歳転職限界説をどう乗り越えられるのかということだ。もちろん、この制度の導入により、世の中が変わる可能性はあるのだが、なかなか根深い問題だと捉えている。

 なぜ、35歳なのか?教育のしやすさ、ポジションの関係などによる。日本企業は「総合職」という名の

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筆者

常見陽平

常見陽平(つねみようへい) 千葉商科大学国際教養部准教授 いしかわUIターン応援団長  社会格闘家

一橋大学商学部卒業、同大学大学院社会学研究科修士課程修了(社会学修士)。リクルート、バンダイ、ベンチャー企業、フリーランス活動を経て2015年より千葉商科大学国際教養学部専任講師(2020年4月より准教授)。専攻は労働社会学。執筆・講演など幅広く活動中。『なぜ、残業はなくならないのか』(祥伝社新書)、『僕たちはガンダムのジムである』(日本経済新聞社)、『「就活」と日本社会』(NHK出版) SNS  twitter yoheitsunemi  facebook yoheitsunemi

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