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「最低賃金廃止」公約のお粗末、必要なのは労働リテラシーの引き上げ

竹信三恵子 ジャーナリスト、和光大学名誉教授

 今回の衆院選では、日本維新の会が「最低賃金の廃止」をうたった公約を打ち出した。激しい批判にさらされて、すぐさま「市場メカニズムを重視した最低賃金制度への改革」に変更されたが、有権者へのアピールを最重視するはずの公約で最低賃金の廃止がうたわれたことは、日本社会の「雇用」や「賃金」の役割についての認識の激しい劣化を表しているといえる。

 雇用とは、人が働いて生活していくための基本的な命綱のひとつだ。もちろん、雇用のほかにもさまざまな生業はあるし、また、雇用されていないから生活できなくてもいいという意味ではない。

 だが、いまの日々の生活の中で、雇用から得る賃金はかなりの人々の生活を支える基本となっており、ここで得た賃金から税金や老後の年金の保険料が払われる。だから、雇用がまともな賃金を保障できるかどうかは、日々の生活だけでなく、社会保障にとっても根幹の問題となる。

 最低賃金は、雇用がこうした役割を果たすための歯止めだ。賃金があまりに下がりすぎると、人々は賃金だけで生活できなくなり、生活保護などの最後の安全ネットに依存せざるを得なくなる。

 だが、1990年代後半から労働の規制緩和が進み、2010年の厚生労働省の調査では、日本社会ではすでに4割近くが不安定で低賃金の非正規労働者となっている。その多くは、週40時間の法定労働時間働いても年収200万円以下の経済的自立が難しい賃金水準で、短期契約という極端な不安定さともあいまって、ちょっとしたボタンの掛け違いで生活保護の利用者にならざるを得ない状況に置かれている。また、短期契約の労働者の増加で、解雇に対する社会の精神的障壁が低くなり、正社員のリストラも相次いでいる。

 お笑いタレントの親族の生活保護受給をきっかけに、

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