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スズキ、三菱、日産…自動車産業で進む個人のグローバル化

永井隆

永井隆 ジャーナリスト

 「輸出立国・日本は今後なくなっていき、代わりに日本人ワーカーが海外工場に赴き現地の社員と一緒に働く時代が来た。現実に、今年3月から生産を始めたタイの新工場には、日本の工場からワーカーを170人送り込んでいる。170人にはベテランの指導者だけではなく、若い作業者も含まれる」

 そう語るのは鈴木修スズキ会長兼社長だ。

拡大スズキのタイ工場で11月にあった開所式。中央が鈴木修会長兼社長。タイ東南部ラヨーン県の工業団地内にあり、3月から稼働している

 日本の自動車メーカーでは、最後発でタイに工場進出を果たしたスズキ。1983年にインドで現地生産を開始した頃は、「インド人を浜松に研修に来させた」(鈴木会長)のとは違い、日本人ワーカーが出ていく形を取った。これは初めての試みだ。

 背景には超円高がある。総選挙後の金融緩和への期待感から、円安株高に振れてはいるものの、1ドルが80円前後の為替水準が定着している。リーマンショック前の110円台といった「円安に戻るのはあり得ない」(鈴木会長)と判断した。このため、消費地で生産する「自動車の地産地消を進める」(鈴木会長)考えだが、日本人ワーカー投入は新工場の品質レベルを最初から日本並みするのが目的だ。タイ工場では、小型車「スイフト」を生産。低燃費と軽快な走り、さらには日本製と同等の品質が受け、当初計画の3倍に当たる3万台を受注している。

 生産台数は年内2万1000台の見込む。来年は5万台、2016年には10万台を生産目標としている。

拡大スズキのタイ工場内の組み立てライン

 「インドに続く海外2番目の柱として、(76年に生産開始した既存の)インドネシア工場とタイ工場がある。両国間は関税がかからないので相互に車種をやり取りしている。他のアジアやオーストラリアにもタイ製スイフトを輸出する。そのためにも、最初から高品質でなければならない。言葉? それは大丈夫、ワーカー同士は心で通じ合えるから」(鈴木会長)。

 世界の自動車市場は急拡大している。2012年の販売見込みは約7800万台だが、早ければ17年にも1億台を超えると勢いだ。牽引するのは新興国。中国やスズキがトップのインド、ロシアやブラジル、そして日本車が圧倒的に強いASEANなどである。5年間で拡大する2100万台強の8割は新興国市場が占めると見られるのだ。少子高齢化が進む日本をはじめ、 ・・・ログインして読む
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筆者

永井隆

永井隆(ながい・たかし) ジャーナリスト

ジャーナリスト。1958年生まれ、群馬県桐生市出身。明治大学卒。1992年、勤務先の新聞社が実質的に経営破たんし、新聞を休刊。これに伴い失業を経験。93年にフリーで独立。新著に「サントリー対キリン」(日本経済新聞出版社)。著書に「人事と出世の方程式」、「国産エコ技術の突破力!」、「ビール最終戦争」、「敗れざるサラリーマンたち」など。

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