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最低賃金は撤廃すべきだ

城繁幸 「Joe's Labo」代表取締役

 日本維新の会のマニフェストにあった「最低賃金廃止」が反響を呼び、同党は後に「市場メカニズムを重視した最低賃金制度への改革」という具合に修正することとなった。同党は他に「解雇規制の緩和」も掲げている。どうも代表のキャラが立っていることもあって「ガンガン賃下げされ、断るとクビにされるのでは」と変な心配をされてしまったらしい。

 ただ、これは大きな誤解だ。最低賃金や解雇規制を廃止すれば、下がるのは賃金ではなく失業率の方だというのは、経済学でも実務の世界においても、ごく一般的な常識である。

最低賃金に賃金の下支え効果は無い

 まずそもそもの前提として、最低賃金制度に賃金を下支えする効果はない。現在のそれは地域ごとに労使、公益の代表が話し合い、企業にとって無理のない範囲で決められたものだ。だから最低賃金があって企業の時給が決まるのではなく、企業の実際の時給を追認する形と言っていい。よって、これを廃止しても何の影響もない。

 むしろ最低賃金を廃止することで、従来は潜在的な需要があったにもかかわらず無視されるか、あるいは国外に流れていた雇用が国内に出現することになる。最低賃金の廃止で失業率が低下するというのはこういうことだ。

社民、公明、みんなの党も最低賃金廃止を視野に入れている

 もちろん、現在の最低賃金以下の時給を認めれば、新たに出現する低所得者層向けの支援制度も必要となる。そこで維新の会のマニフェストを見ると「負の所得税」なるものがしっかり明記されている。これは

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