常見陽平
2012年12月14日
日本維新の会が総選挙の公約として「最低賃金廃止(のちに改革に変更)」「解雇規制の緩和」の方針を打ち出し、賛否両論を呼んでいる。
ここでは彼らに対する賛成、反対という話ではなく、この案から垣間見られる日本の雇用・労働政策や、議論の問題点について述べたい。一言で言うと、「働く人の顔を見た政策になっているか?」「有効だと言えるのか?」「雇用・労働の劣化を招かないか?」という視点である。
12月13日現在、同党のHPに掲載されているマニュフェストには、最低賃金の件は明記されていない。解雇規制の緩和は相変わらず掲載されている。現在は掲げていないことを前提に、コメントするが、最低賃金を撤廃すると雇用が増えるというのは、雇用主側の論理であって、労働者側に響くだろうか。シンプルに言うならば、「そこまでして働くのか?」という話になる。
例えば、総務省統計局の「労働力調査(2011年度)」から、岩手、宮城、福島をのぞく完全失業者284万人の内訳を見てみよう。
・希望する種類・内容の仕事がない 81万人
・求人の年齢と自分の年齢とがあわない 50万人
・条件にこだわらないが仕事がない 36万人
これらが上位に入っている。給料を下げたところで、解決できる問題だとは思えない。そもそも、安ければ雇う人は増えるのだろうか。それは前提が労働集約型の仕事である。また、
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