2012年12月17日
TPP交渉だけでなくTPP自体への参加も困難となりつつある。工業品の高い関税の撤廃や国営企業の大幅な改革が要求されるベトナムやマレー人優遇政策という国家の基本的な政策まで変更されるかもしれないマレーシアが交渉に参加して、アメリカと互角にわたり合っている。これをみると、根拠のないTPPお化け論者の言うことを間に受けて交渉に参加しようとしない日本の政治家たちが、情けなくなる。
自民党が政権を奪回した。しかし、政権が変わっても、農協にTPPの踏み絵を踏まされた議員が多数帰ってきた自民党の下では、日本はTPPに参加できない。これまでの民主党と同じく堂々巡りの議論が繰り返されるだけだ。
では、他の自由貿易協定(FTA)の交渉はどうだろうか?日中韓のFTA交渉も、ASEANに日中韓3カ国と豪州、ニュージーランド、インドが加わったRCEP(東アジア地域包括的経済連携)交渉も、開始されることとなった。それ以前に、2007年から始まり5年以上も経過している日豪のFTA交渉はどうするのだろうか?豪州は農産物輸出国である。これまで農業界の反対により、交渉は進展しなかった。
TPP反対論の主要な論拠は、TPPを主導しているのはアメリカであり、過去の日米二国間協議では、アメリカに一方的にやられてきたというものだった。しかし、日豪間のFTAには、アメリカは関係しない。
さらに、TPPは農業問題ではなく、投資やサービスなどの多くの分野を含むものであるという強い反論があった。特に、国民皆保険制度が崩壊したり、
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