竹信三恵子
2012年12月21日
今回の総選挙では、前回、戦後初めて1割を超えた女性議員比率が8%に下がり、ひとけた台に逆戻りした。
ダボス会議の主催団体である世界経済フォーラムは、政治や経済などへの男女の参加度格差を示す「男女格差指数(GGI)」のランキングを毎年発表しているが、日本は今年、135カ国中101位。特に足を引っ張っているのが女性国会議員比率だ。だが、今回の選挙で、低位脱出は望み薄となった。
海外では、隣の韓国も含む世界の約100カ国で、議席や立候補者の一定割合に女性に割り当てる「クオータ制」が導入されている。「政治家は男が先」という意識が根強い社会では、女性は立候補も当選も難しい。このため、一部を女性に意図的に開放することで女性が活躍できる余地をつくろうという試みがクオータ制だ。こうした制度にほとんど関心がない日本は、途上国からも追い抜かれ続け、その結果が101位という順位だ。
真の問題は、「順位が低くてみっともない」ことではない。人口の半分を占める層が議会で発言権を持たない状況では、その国の議会は構成員の意志を十分に反映できない。日本では、その結果、育児や介護など女性が外で活躍するための公的な支えに税金が十分回らない。男性の雇用がこれだけ不安定化しているのに、厚生労働省が12月に発表した調査では、仕事を持っている女性の半数以上が第一子の出産半年後に退職している。経済合理性からは考えられないこんな事態が起きるのも、女性が働き続けるためのインフラに資金を向けるとの意志決定が、国会で進まないからだ。
各国では、
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