メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

news letter
RSS

 日本茶の消費減少を嘆く声をよく聞く。生活にすっかり定着したペットボトル入りのお茶とは反比例で、茶葉(リーフティ)のマーケットは縮小傾向だ。家計調査によると、一世帯あたり(二人以上)の購入金額は1990年に比べ26%減の4567円、購入量も2割%減少した。原発事故によって一時、静岡県、埼玉県、茨城県などのお茶から基準値を超えたセシウムがみつかったことも贈答向けの需要落ち込みの要因ともいわれる。

 先日、静岡県掛川市を訪ねた。きれいに管理された茶畑のところどころに見える耕作放棄された茶畑。2年もすると木が生い茂り、原形を留めなくなる。「緑茶を飲む掛川市民は長寿」とテレビ番組で話題になったほどの名産地であっても消費の冷え込みとは無関係ではなさそうだ。

 日本茶の生産農家が集まる会議でも冒頭から「日本茶を取り巻く環境はますます厳しい」との挨拶から始まる。どうすれば現状を打破できるかという主旨の会議であるはずだが、挨拶を聞いた農家たちは「やっぱりだめなのか」と肩を落とすのが現実だ。

 三重県松阪市で30ヘクタールで日本茶の生産および販売をしている農家は、消費者に日本茶のおいしさを知ってもらおうと、時折東京を訪れて日本茶のPRをおこなう。プロが煎れるお茶を試飲してもらうと、足を止め「おいしいね」と言うものの、買ってくれる人は少ないそうだ。

 「おいしいけど、うちには急須がないので」と言いながら立ち去る人もいるという。経営者は「待ちの姿勢では到底、日本茶マーケットの維持は不可能」と、通常の茶葉販売もおこないながら、三重県内にお茶をテーマにしたカフェの運営に乗り出し、顧客の支持を得ている。

 このように消費者に近づいた事業を展開している農家は少数派だ。「昔は日本人もお茶を飲んだのに」「バブル前までは贈答品がよく売れた」ともっぱら古き良き時代を振り返る農家が大多数を占める。

 掛川市を訪れた際、 ・・・ログインして読む
(残り:約1633文字/本文:約2430文字)

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

青山浩子

青山浩子(あおやま・ひろこ) 農業ジャーナリスト

1963年愛知県生まれ。86年京都外国語大学英米語学科卒業。JTB勤務を経て、90年から1年間、韓国延世大学に留学。帰国後、韓国系商社であるハンファジャパン、船井総合研究所に勤務。99年より農業関係のジャーナリストとして活動中。1年の半分を農村での取材にあて、奮闘する農家の姿を紹介している。農業関連の月刊誌、新聞などに連載。著書に「強い農業をつくる」「『農』が変える食ビジネス」(日本経済新聞出版社)「農産物のダイレクト販売」(共著、ベネット)などがある。茨城大学農学部非常勤講師もつとめる。

青山浩子の記事

もっと見る