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現代・起亜の燃費水増し、「アンフェア」を生む土壌

木代泰之 経済・科学ジャーナリスト

 現代とその子会社・起亜自動車による大規模な燃費水増しがこのほど米国で発覚した。11月の米販売統計では、台数は伸ばしたものの、日本車やドイツ車に比べて伸び率低下が目立ち、シェアを落とした。

 米国では燃費性能はメーカーによる自主申告制なので、現代・起亜はそこにつけこんで組織的な虚偽表示を行った疑いが持たれている。そうだとすれば、信頼と公正を前提とする社会ルールに反するアンフェアな行為である。

 米国とカナダで集団訴訟が起こされたが、韓国内でも燃費水増しと独占の弊害が指摘されている。19日投票の大統領選挙では「財閥改革(経済民主化)」が最大の争点だった。足元で「世界5位」の企業体質が問われる事態になっている。

 米環境保護局(EPA)の11月2日の発表によると、現代・起亜が2010年以降に販売した20車種のうち、現代7車種と起亜6車種の計13種で燃費水増しが見つかった。米国90万台、カナダ17万台の計107万台で、両社の販売台数の35%に相当する。

 消費者からEPAに「実際の燃費がカタログ性能に達していない」との苦情が多く寄せられたため、EPAが調査して判明した。EPAは「2000年以降、燃費の訂正を求めたケースは2件あったが、今回のように大規模なのは初めて」とコメントした。

 たとえば現代のセダン「エラントラ」は、市街地では29mpg(マイル/ガロン)、高速道路では40mpgと宣伝していたが、実際は28mpgと38mpgで、1~2mpg(3.5~5%)誇張していた。最悪なのは起亜のワゴン「ソウル」で、高速道路で6mpg(約15%)もサバを読んでいた。

 エラントラは40mpg超のエコ性能が評価され、2011年は売上を40%も伸ばし、北米の「カー・オブ・ザ・イヤー」を獲得していた。ライバルのホンダ「シビック」は高速道路39mpgで、エラントラより1mpg劣っていたが、これで逆転した。

 こんな大がかりな水増しが可能なのは、米国の燃費がメーカーによる自主申告制度になっているからだ。各メーカーは米国の基準に従ってデータを測定し、EPAに届け出る。メーカーが公正な数字を正直に申告することへの信頼を前提にした制度になっている。

 日本では、

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筆者

木代泰之

木代泰之(きしろ・やすゆき) 経済・科学ジャーナリスト

経済・科学ジャーナリスト。東京大学工学部航空学科卒。NECで技術者として勤務の後、朝日新聞社に入社。主に経済記者として財務省、経済産業省、電力・石油、証券業界などを取材。現在は多様な業種の企業人や研究者らと組織する「イノベーション実践研究会」座長として、技術革新、経営刷新、政策展開について研究提言活動を続けている。著書に「自民党税制調査会」、「500兆円の奢り」(共著)など。

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