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ボーイング787「ドリーム」にひそむリスク―PartII

木代泰之 経済・科学ジャーナリスト

 ボーイング787型機(ドリームライナー)で、年末から年始にかけて突然のように事故・故障が多発している。燃料漏れ、リチウムイオン電池の焼損、ブレーキ不具合、オイル漏れ、電源配線ミス、窓ガラス破損と多様である。

拡大ボーイング社製新型機「787」(手前)=成田空港

 中でもリチウムイオン電池の火災(1月7日)は、極めて深刻な問題だ。当のJAL機のお客は米ボストン空港で降りた後だったが、もし飛行中であれば大惨事になっていた。米運輸安全委員会と連邦航空局が調査を始めた。

 787型機は設計にさまざまな新機軸を採用し、軽量化して燃費を従来機より20%も向上させた。「ドリームライナー」の愛称もそこから来ている。しかし、新型機というのは従来とは違う技術や機能、システムを取り入れるために、機能が安定するまでに初期故障や想定外の事故が必ず起きるものだ。

 筆者は2011年7月、787型機についてWEBRONZAに「『ドリーム』の陰にひそむリスク」を書き、主にエンジンやコントロールシステムに潜在リスクがあることを指摘した。

 PartIIの今回はリチウムイオン電池の火災について考えてみたい。この問題は航空機だけでなく、これから普及が進む電気自動車(EV)やハイブリッド車(HV)にも関係してくる。

 787型機で低コスト・軽量化をはかる新機軸の一つは、駆動用パワー源を従来の油圧系から電気モーター系に変えたことである。火を噴いたリチウムイオン電池は、その電気系統にとって重要な補助動力装置の一部で、機体が地上にある時に電気を供給する役目を果たしている。

 リチウムイオン電池は、一般的に小型軽量で高速充電ができ、エネルギー密度が高い。近年、その利用はパソコン・携帯電話用などの小型電池から、工作機械、電気自動車、船舶などの大型電池まで急速に広がっている。

 その一方で、電解液に石油類と同じ程度の引火性がある液体を使うため、ニッケル水素電池など他の電池に比べ、出火の危険性が高い。数年前までは、パソコン用の電池が異常な熱を持ったり発火したりする事故がときどき起きていた。

 この電池は、何かの原因で一度火炎にさらされると、 ・・・ログインして読む
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筆者

木代泰之

木代泰之(きしろ・やすゆき) 経済・科学ジャーナリスト

経済・科学ジャーナリスト。東京大学工学部航空学科卒。NECで技術者として勤務の後、朝日新聞社に入社。主に経済記者として財務省、経済産業省、電力・石油、証券業界などを取材。現在は多様な業種の企業人や研究者らと組織する「イノベーション実践研究会」座長として、技術革新、経営刷新、政策展開について研究提言活動を続けている。著書に「自民党税制調査会」、「500兆円の奢り」(共著)など。

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