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イナメナスのテロ、標的にされる資源国ビジネス

小原篤次 大学教員(国際経済、経済政策、金融)

 アルジェリア南東部イナメナスのガス関連施設で、イスラム武装勢力による襲撃、人質事件が発生した。襲撃された施設は、英BP、ノルウェーのスタトイル、アルジェリアの国営企業ソナトラックなどが設立した合弁企業が運営している。ガス施設の建設に参加していたプラントエンジニアリング専業最大手の日揮の関係者も人質事件に巻き込まれた。不幸にも事件で亡くなられた方には、深く哀悼の意を表したい。

 ガス関連施設は首都アルジェから約1300キロ、リビア国境から約100キロにある。日本大使館の情報収集を疑問視する向きもあるかもしれないが、軍事的対立がある国や地域では、移動の制約が大きい。そもそも外国人ができる情報収集には限りがある。現地政府、欧米の大使館や進出企業からヒアリングする程度だろう。しかも今回の事件で、情報収集で苛立ったのは日本だけではない。駐在武官という外交官を多少、増員すれば、情報を確実に収集できるわけではないだろう。

 日揮は2002年11月、BPグループとソナトラック社と、イナメナスガス田開発プロジェクトの受注契約に調印している。日量10億5000立方フィートの大型天然ガス処理プラント、パイプライン、インフラなどの設計、機材調達、建設工事、試運転役務などを一括請負契約(ランプサムターンキー契約)で受注している。受注は総額約7億4500万ドルと公表されている。

アルジェリア、アフリカ1位の天然ガス生産

 国内で石油精製プラントなど新規設備投資は低迷している。その分、海外の工事案件の重要性が高まっている。2012年3月期末の受注残高1兆4416億円のうち92.1%が海外案件となっている。業界2位の千代田化工建設は同受注残高8409億円のうち海外が80.0%を占めている。

 海外受注のウエイトが高まるのは、国内の設備投資意欲の低迷だけではなく、資源国で原材料輸出だけではなく、プラント建設で付加価値の向上を目指す動きも影響している。

 英国BP統計によると、

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