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AKB48丸刈り謝罪、ブラック企業論からの検証を

竹信三恵子 ジャーナリスト、和光大学名誉教授

 AKB48の峰岸みなみさんの丸刈り謝罪に、AKBよ、お前もか、という思いにとらわれている。この事件についてはさまざまな疑問の声も上がっているが、特に気になるのは、今回の事件に、日本のブラック企業文化の影が色濃く感じられことだ。

 

 「ブラック企業」は、社員に過剰な労働を強いたり無理なノルマを課したりして、うつなどの深刻な健康障害や、過労死を引き起こすとして問題化している。今回の丸刈り謝罪は、これらの企業を生む文化的土壌と、次の3点で共通している。

 

 まず、働き手が、仕事のためとして、自傷行為にまで及んでいることだ。ブラック企業についての相談では、社員への罰として社長が社員の髪を切ったり、ノルマを達成できないなら死んでわびろとどなったりするなど、仕事の失敗を社員が体の損傷であがなうことを当然視する例がしばしば見受けられる。今回の丸刈り謝罪でも、「仕事の責任をとるために体を傷つけてもしかたない」という主張が映像を通じて大々的に流され、AKB側もこれを阻止しなかった。

 

しかも、そうした自傷行為が、「商品だからしかたない」と受け手から「評価」される異様な事態も生まれている。たとえば、朝日新聞2月2日付記事では、この事件にからんで、「事務所にとってアイドルは商品。ブランドコントロールは何よりも重要」として正当化する広報コンサルタントの談話が紹介されている。ここには、体を傷つけずに働ける職場環境を目指す安全衛生の思想や、「労働は商品ではない」という国際労働機関(ILO)の人権の基本はかけらも見えない。

 

次の共通点は、「組織が命令したわけでなはなく、当人が勝手に決めたこと」として、組織の責任が不問に付されていることだ。2月1日付朝日新聞朝刊「働く」の欄では、 ・・・ログインして読む
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筆者

竹信三恵子

竹信三恵子(たけのぶ・みえこ) ジャーナリスト、和光大学名誉教授

和光大学名誉教授。東京生まれ。1976年、朝日新聞社に入社。水戸支局、東京本社経済部、シンガポール特派員、学芸部次長、編集委員兼論説委員(労働担当)などを経て2011年から和光大学現代人間学部教授・ジャーナリスト。2019年4月から現職。著書に「ルポ雇用劣化不況」(岩波新書 日本労働ペンクラブ賞)、「女性を活用する国、しない国」(岩波ブックレット)、「ミボージン日記」(岩波書店)、「ルポ賃金差別」(ちくま新書)、「しあわせに働ける社会へ」(岩波ジュニア新書)、「家事労働ハラスメント~生きづらさの根にあるもの」(岩波新書)など。共著として「『全身○活時代~就活・婚活・保活の社会論』など。2009年貧困ジャーナリズム大賞受賞。

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