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高い実質金利が日本を停滞させた

原田泰 原田泰(早稲田大学教授)

日本の実質金利はイタリアの次に高い

 日本の金利はとてつもなく低いというのが定説だが、実質金利でみると最近はそうでもない。図1は主要6か国の実質金利を見たものである(ここでの実質金利は、名目長期金利から同じ年の消費者物価上昇率を引いた簡便なものである)。

 これを見ると、最近では日本の実質金利はイタリアに次ぎ、6か国の中で2番目に高い。2012年を見ると、3番目に高いのはフランスで、それ以下のアメリカ、ドイツ、イギリスの実質金利はマイナスとなっている。日本の金利は、実質で見るとけっこう高いのである。

 次に、実質GDPの成長率を見ると、図2のようになる。2012年で一番低いのはイタリアで、次にイギリス、フランス、ドイツ、アメリカ、日本の順になっている。2012年では、日本の成長率は結構高いが、それは2011年の東日本大震災の落ち込みからの反動があるからである。

 毎年の成長率を見ていたのでは分かりにくいので、リーマンショックのあった2008年から12年までの実質金利の累積と実質GDP成長率の累積を見たのが図3である。これを見ると、イギリスを例外として、累積の実質金利の高かった国ほど実質GDPの成長率が低かったという傾向のあることが分かる。

 中でも、イタリアの実質金利の高さが印象的である。なぜ高くなったかと言えば、財政危機で資金逃避が起こり、金利が高騰したこと、イタリア独自の中央銀行がないので、物価が落ち着いているにも関わらず、金利を引き下げることができなかったからである。イタリアでは、実質金利が高かった結果、実質GDPの成長率はマイナスだった。

 実質金利については、

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