2013年03月14日
安倍政権が企業に賃上げを呼び掛けている。賃金を増やすことで消費を活発化させるのが狙いだそうで、甘利経産相にいたっては「つぎはファミリーマートだ」と名指しで指名するほどの熱心さだ。連合を支持母体とする故・民主党でもここまで露骨なことはやらなかったから、自民党も変わったものだ。
では、実際に政府の目論見通り、労働者の賃上げは進むのだろうか。
■正規と非正規雇用の格差が拡大する
安倍総理の呼び掛けに真っ先に反応したローソンをモデルに考えてみよう。「子育て世代の生活を下支えする」といって賃上げの先陣をきったローソンではあるが、賃上げ対象はあくまでも3300人の正社員のみ。店舗で働く約20万人のバイトは賃金据え置きだから、(仮に安倍総理の目論見通り年2%程度のインフレが実現すれば)彼ら20万人の非正規雇用労働者は実質的な賃下げとなる。
同様のことは日本中の正社員と非正規雇用、大手企業と下請け中小企業の間で発生するだろうから、格差は拡大することになる。
■ほとんどの労働者の賃金は上がらない
とはいえ、末端労働者の賃下げで企業業績が伸びれば、景気自体は良くなるかもしれない。その結果として、全ての労働者が賃上げという恩恵を受けられるのではないか、という期待を持っている人が多いように見える。
だが、残念ながら、ほとんどの労働者の実質賃金は横ばいか、むしろ下がるというのが筆者の考えだ。
たとえば、
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