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TPP参加表明と農業競争力強化の齟齬

山下一仁 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹

 安倍政権はTPP参加表明とともに、農業の競争力強化を掲げている。2月18日の産業競争力会議で、安倍総理は、「農業を成長分野と位置付けて産業として伸ばしていきたいと思います。特に、農業の構造改革の加速化、農産品・食品の輸出拡大であります(中略)。日本の農業は弱いのではないかという思い込みを変えていくということが重要ではないかと思います。」とあいさつしている。国会の答弁でも、TPP参加と関連して「攻めの農業」が語られている。

 しかし、この両者の間に齟齬はないのだろうか?自民党は、コメ、麦、牛肉、豚肉、乳製品、砂糖やでんぷんなどを重要品目として位置づけ、TPP交渉において、関税撤廃の例外を要求し、実現できなければ、交渉から脱退すると決議している。もし、安倍総理が主張するように、日本農業が弱くないのであれば、堂々と関税撤廃に応じればよいのであって、その例外を主張する必要はない。もし、日本農業が弱くて関税撤廃に耐えられないため、TPP交渉でその例外を実現するか、できなければ脱退するというのであれば、現状のままでよいというものであり、特段強くする方策を検討する必要はない。

 私は、意地悪な疑問を提起しているのだろうか?ある人は、「そうではないのだ。日本農業は衰退が激しいので、TPP参加いかんにかかわらず、強化策を講じなければならない。」と主張するだろう。確かに、

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筆者

山下一仁

山下一仁(やました・かずひと) キヤノングローバル戦略研究所研究主幹

1955年岡山県笠岡市生まれ。77年東京大学法学部卒業、農林省入省。82年ミシガン大学にて応用経済学修士、行政学修士。2005年東京大学農学博士。農林水産省ガット室長、欧州連合日本政府代表部参事官、農林水産省地域振興課長、農村振興局整備部長、農村振興局次長などを歴任。08年農林水産省退職。同年経済産業研究所上席研究員。10年キヤノングローバル戦略研究所研究主幹。「フードセキュリティ」「農協の大罪」「農業ビッグバンの経済学」「企業の知恵が農業革新に挑む」「亡国農政の終焉」など著書多数。

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