2013年04月03日
中国では習近平国家主席が登場して経済改革をアピールしている。しかし、上海株式市場の反応はにぶい。とくに中国の投資家が売買する上海A株指数は2400前後で低迷している(グラフ1)。米欧やアセアンの株式市場が危機を脱し、リーマンショック前の水準に戻しているのとは対照的だ。
上海市場にはA株とB株がある。A株には中国の企業約1400銘柄が上場しているが、相場が外国ファンドに振り回されないようにするため、売買は中国人とごく一部の外国の機関投資家に限られている。B株は外国人も売買できるが、銘柄数はA株の10分の1ほど。A株とB株を合わせたものが上海総合指数である。
A株に上場している企業の多くは国有企業のグループ会社だ。母体である国有企業は、政府や共産党の支配下にあって産業界を牛耳るが、過剰な設備や人員をかかえ、利益率は民間企業より低い。
その非効率の改革は、習政権が引き継いだ難問中の難問だ。A株の低迷は、中国人投資家が自国の経済運営に向ける冷めた視線を感じさせる。
A株指数はグラフ1に見るように、2006~7年に4倍に急騰し、7年暮にはピークの6200をつけた。証券会社の店頭は熱狂した投資家であふれ返ったが、リーマンショックで1700まで暴落。今は2400あたりをウロウロしている。
低迷の原因はマクロ的には、
(1)世界不況による欧州などへの輸出悪化
(2)不動産価格の上昇を抑えるための金融引き締め
(3)人件費上昇による外国からの投資の減少
(4)それらの結果としての景気減速
などと説明されている。
しかし、一応7~8%成長は維持しているし、昨年来、米国経済は復調を見せ、欧州もだいぶ落ち着いてきた。習政権はインフラ・設備投資を刺激して景気テコ入れに動いている。そんな材料があってもA株が低迷しているのは、景気循環とは別の根本的な問題があるからだ。
上場銘柄のうち時価総額が大きいのは、中国石油天然気、中国工商銀行、中国人寿保険、華能国際電力、中国国際航空、宝山鋼鉄、上海汽車など、それぞれの業界を代表する国有系のナンバー1企業である。
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