2013年04月09日
日銀は4月4日に新たな金融政策の枠組みを発表した。わかりやすさやスピード感などから、海外のエコノミストの反応は総じてポジティブであり、日本の産業界も歓迎している。
一方で金融機関にとっては長期金利の低下が長引くと、高利回りの債券や貸し出しが低利回りの資産に振り替わるため、資金利益は悪化する。利ザヤの低下を相殺するほど貸し出し量が増えるのかは、今後の設備投資や個人消費の動向にかかってくる。このため、アベノミクスの成否は政府の成長戦略にあるという声がよく聞かれる。
しかし日本経済の成長率を高めるのは、民間企業が主体と考えるべきではないだろうか。政府に過大な役割を求めることは財政再建の遅れにつながるおそれがある。政府の補助金や企業への出資は、災害のような特殊な場合を除けば本来淘汰される企業を温存させ、資源の適正配分を歪めるリスクがある。
政府に求められることは、余分な規制や障害を取り除き、民間企業の活力を引き出すことであろう。
期待先行といわれているアベノミクスの効果を実体経済に広げていくためには、金融機関の果たす役割は大きい。貸し出しの増加はその代表例であり、金融機関は企業の目利き機能を高め、成長分野に資金が流れるようにしてもらいたい。
また企業に適切な助言を行い、競争力を高めることも貢献の一つといえる。例えば輸出企業にとって、
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