2013年04月18日
経済産業省の資源エネルギー総合調査会における「エネルギー基本計画(将来のエネルギー・ベスト・ミックス)」を巡る議論が再開された。福島第一原発の事故を受けて、今後の原子力発電の比率をどうするのか。それを補うための火力発電の比率、そのなかで、LNG、石油、石炭の組み合わせはどうなるのか。そして太陽光、風力、地熱、バイオマスなどの再生可能エネルギーをどれぐらい増やして行けるのか。加えて、省エネや節電で電力需要をどれぐらい減らして行けるのかなどが焦点である。今後のエネルギー政策を展望してみる。
■再生可能エネルギー
太陽光、風力、地熱、バイオマス発電など再生可能エネルギーの全量買い取り制度が始まっている。再生可能エネルギーは、貴重な国産エネルギーである。中長期的には、原燃料を海外から輸入しなければならない原発や火力発電への過度な依存を緩和すべく、外貨を使わず供給できる再生可能エネルギーの電力供給源としての可能性を最大限に追求すべきである。
現在までの導入計画では太陽光発電が200万kWと圧倒的に多い。しかし日本は海洋国家でありかつ火山国である。それゆえ、風力や地熱発電のポテンシャリティも極めて高い。技術開発や規制緩和を促し、こういった分野でのエネルギー供給体制の整備も積極的に進めるべきである。
またこの分野では、再生可能エネルギーの供給安定性を確保するため、スマートメータとスマート家電の組み合わせによるデマンド・レスポンス・システムと、再生可能エネルギー用蓄電システムのパッケージを、ITネットワークで制御する、所謂「スマートグリッド」による、効率的な電力需給調整システムを構築する必要がある。
日本が国際社会に先んじて、この分野での技術革新を引き起こし、そのグローバルな展開を主導して欲しい。このシステム開発は、エネルギー分野における新たなイノベーションであり、日本の経済成長戦略の大きな柱の一つとしても期待される。
■メタンハイドレート
日本の領海に大量に賦存するというメタンハイドレートにも大いに期待したい。先般愛知県と三重県にまたがる海域で、実験的なメタンガスの回収に成功している。採掘技術の開発、コスト引き下げなど、克服すべき課題は多々あり、商用化するまでにはまだまだ多くの時間を要しそうだが、なんと言っても貴重な国産のエネルギー資源である。
領海内には、日本の天然ガス需要量のほぼ100年分が賦存すると言われている。商用化はかなり先のことになるのであろうが、日本のエネルギー需給に画期的な変革をもたらす可能性のある夢多きテーマである。こういう分野には是非大いなる夢を求めて、官民を挙げての粘り強い取り組みを期待したい。
■LNGの調達
おそらく生じるであろう原発の比率縮小による不足電力は、短期的には、火力発電により補うこととなる。すでに日本のLNGの輸入は2010年の7000万トンから2012年には8700万トンに増えている。その結果日本は100万BTUあたり16~18ドルという非常に高い価格のLNGを買うことになり、これが電力価格を引き上げるとともに、同時に日本の貿易収支の赤字をも拡大することになっている。
ただ、ここへ来て、
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