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私立文系初年度納付金115万円、大学は不都合な真実を語る時だ

小原篤次 大学教員(国際経済、経済政策、金融)

 「歴史は繰り返す」の故事通り、現行の採用活動時期が、筆者のような50代世代が経験した活動時期とほぼ同じパターンに変更される。つまり、現在の経営層や管理職層になじみのある活動時期である。しかし大学を取り巻く環境は決して昔と同じではない。

 

 企業側は採用・選考期間が短縮されたことで、業務が集中する(図1)。新卒の入社時期と採用活動が重複してしまう。よって採用担当者増員のほか、アウトソーシング、若手社員を採用活動に従事させるリクルーター制度の復活などで対応を迫られるだろう。

拡大図1

 採用活動の時期の変更について、筆者は、すでに主に企業サイドの事情として「少子化時代の就職活動、人材開発は社会の責務」と題して、に分けてすでに解説している。今回は大学サイドへの提案まで踏み込みたい。

 

 まず上場企業など大手企業の正社員をゴールと考えると、採用活動期間が短縮され、首都圏以外の地方大学が不利になる可能性がある。もちろん4月以降、地方と首都圏を往復するほか、首都圏に一時拠点を移して人気企業に挑戦する方法もある。

 

 ただし、1カ月の宿泊料だけで最低15万円程度の費用を覚悟しなければならない。まずは就職活動生本人だけではなく、家族、大学も、応募する大学生人口が拡大した現実を直視して、大企業の正社員をゴールとする目標設定を早く修正して、入学当初から、中小・中堅企業を視野に入れることが必須だと思う。

 

 筆者も学生には同様のアドバイスを心がけている。大学が地方自治体や地方の経済団体などと協力して、学生とのマッチングが進むように求人情報を充実させる必要性もある。

 

企業は地方のために情報ネットワークを活用せよ

 他方、大企業サイドも、会社説明会や一次選考は情報ネットワークを積極的に利用すべきである。

 

 個人情報を扱う業務の性格から保守的になりがちな大企業の採用担当者も、お互い負担を軽減する方法を実行したい。人気企業の採用担当者はFacebook、SkypeやLINEに馴染みが無く、セキュリティで不安があるならば、面接に呼ぶかどうか、ボーダーラインの学生に対しては、ビジネスの基本ツール電話の受け答えだけで応募者をかなり選別できる。

 

 5分、10分程度の会話で、学生を選別できないなら、「採用担当者の資格がない。クビだ」と激怒する創業型の経営者もおられることだろう。そのことで応募者のコミュニケーション能力、ひいては若手社員のコミュニケーション能力が高まる。

 

 応募が殺到する企業や収益管理に厳しい企業は、自社社員ではなくアウトソーシングによる1次選考の利用を拡大させるだろう。もちろん青田刈りの方法(倫理憲章の抜け道)として批判されがちなリクルーター制度にも効用がある。

 

 若手社員のコミュニケーション能力の向上の職場内訓練(OJT)と位置づければ、快く送り出してくれる部長さん、支店長さんも増えると思う。筆者も新人時代、100名以上の学生に会うことで、自分の会社、職場を見直す機会になったと記憶している。

 

 何も経費をかけてアウトソーシングしなくても、エントリーシートの記入欄を増やすほか、あえてWEB経由のエントリーを郵送に一元化して、応募者を絞り込む方法もある。

 

 最後に情報開示の重要性を指摘しておく。会社側も若手の定着・成長を望むなら、 ・・・ログインして読む
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筆者

小原篤次

小原篤次(おはら・あつじ) 大学教員(国際経済、経済政策、金融)

長崎県立大学国際情報学部准教授。1961年、大阪府堺市生まれ。同志社大学法学部卒、国立フィリピン大学修士。朝日新聞社、チェースマンハッタン銀行(現JPモルガン・チェース)、みずほセキュリティーズアジア初代株式調査部長、みずほ証券リサーチ&コンサルティング投資調査部副部長を経て現職。【2015年12月WEBRONZA退任】

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