2013年05月10日
「最後に為替相場を問われれば、当面の円安の目標は100円の手前と答える。日本固有の要因だけで半年もトレンドが続くとは考えにくい。それでも95円をあっさり抜ければ、90円後半でもみ合う展開を予想する」(高齢化する日銀総裁、副総裁の実力)
前回(3月5日掲載)の為替予想の「当面」は2カ月持たなかったことになる。ただ100円台の円安が、米国の取引時間に米国マクロ要因で起きたとすれば、どうにか予想としては外さなかったことになる。
まずカジノ化した円相場を他通貨と比べて説明したい。
米連邦準備制度理事会(FRB)が集計するドルレートで、豪州ドル、円、韓国ウォンの一日の変化率を過去一年間、グラフにしてみた(図1)。円はユーロとともに主要国通貨のため、投資家・投機家の種類が豊富で、十分な売買代金がある。つまり市場流動性があるため、通常は豪州ドルや韓国ウォンほど激しくは変動しないものである。
■黒田日銀の金融緩和は為替相場で史上4番目の驚き
ただし昨年11月、解散総選挙が決まり、自民党勝利予想、つまりインフレ目標、金融緩和を掲げたアベノミクスから、円安に転じた時期以降、他通貨より激しく動いていることが分かる。とりわけ跳ね上がったのが4月4日の前日比3.4%の円安である。黒田東彦総裁初の日本銀行金融政策決定会合で、「異次元金融緩和」が発表された直後の変動である。
一日の円安方向の変動率としては、変動相場の過去40年余りの歴史で、史上4番目である。上位の3日は1970年から1980年後半にかけての変動である。多くの現役の市場参加者や当局者にとっては、驚きの一日だったわけである。なお3%以上の円安に広げても、過去10回しかない。一日で3%の変動は株式市場でもサプライズの水準である。
為替がカジノ化しやすいのは、
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