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財政危機深まる世界経済

榊原英資 (財)インド経済研究所理事長、エコノミスト

 世界的に政府債務残高が増加してきている。2008~09年のいわゆるリーマンショックとそれに伴う世界的景気後退に、各国とも財政政策によって対応したのがその主たる原因だ。

 周知のように政府債務残高がGDP比で一番高いのが日本。2012年には対GDP比で238%に達している。日本に次いで高いのがギリシャ、イタリア、ポルトガルなど南ヨーロッパの国々。それぞれ159%、127%、123%に達している。

 日本の場合、家計の金融資産残高がGPD比で280%に達し、国債の90%以上が日本人あるいは日本の金融機関によって長期保有され、当面、国債市場は安定しているが、南欧諸国は事情が異なり2010年にはギリシャ危機が発生、危機はまたたく間にスペインに波及した。ECBとIMFによる巨額の資金投入で当面の危機は回避したが、2013年キプロス問題をきっかけにユーロ圏に再び不透明感が広がり始めている。

 問題の根源は財政赤字なのだから、当然、増税・歳出削減がなされるわけだが、これは経済にはマイナス。ユーロ圏の2012年の成長率は-0.4%だったが13年も

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