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東大医学部は3つの私立高校の寡占状態

 東京大学など国立上位校は、首都圏、近畿圏のほか、地方でも県庁所在地にある有名私学や伝統校の占める割合が高くなる。極端な一例は、わが国偏差値トップの東京大学理科3類、医学部進学予定者たちだ。灘、開成、桜蔭の3高校が過去4年間、19~45%のシェアを占めている。トップの灘高校は14~21%のシェアを獲得している。これでは、まるで灘高校が東大医学部付属の高校的な存在だ。

 

 市場原理というか、長年の中高一貫教育の努力、実績の賜物だろう。しかしこれでは寡占状態で公平な競争が生まれにくい。有名私立大学も学生確保から、付属や系列高校を拡大させてきた。採用し管理する側は、今度の新人は「付属?」や「AO入試?」との愚痴が蔓延する結果となっている。

 

 親は収入が伸びないなか、祖父母の支援も受けて教育費用を捻出して、都市部では中学受験、地方でも高校受験から、大学進学をゴールに設定する。こうした親心から結果的に社会をセグメントしてし、日本の若者の活力を奪おうとしている。合成の誤謬である。

 

 若者や学生に罪はない。マクロ的には、デフレや教育費の削減、少子化などを放置してきたツケである。

 

 こうした競争が減少するなかで、ある意味、親の家計としては恵まれた東京大学の秋入学の学生に対して、財政資金を優先的に投入して短期間の留学を支援する必要性があるのか強い疑念がある。そこから大企業が採用してもなかなかグローバル人材に育たない。

 

 同時に、せっかく東京大学から新卒を採用しても、将来の経営層として大きく育てる余裕が企業サイドに欠けている気がする。東京大学に一橋大学、慶應義塾大学など複数の大学を加えたとしても、同様のことが言えるだろう。かりに東大生全員がわずか半年、海外で滞在したからといって、経済界は人材確保で満足しない。

 

 日本に来る留学生のもまれ方と比べると違いは明らかである。彼ら、彼女らは母国を離れ、一般的に、日本語教育1年、学部4年、場合によっては修士2年、博士3年など長期伊滞在している。こうした留学生から採用する方がグローバル人材の適応、適正は高くなる。

 

 日本への留学生は日本人学生より英語力の相対的に高い。母語、日本語、英語で3言後駆使できる。このレベルに日本の若者を育てる目標なら、日本の高校と海外の大学を結びつけるのが肝要である。すでに述べたように、国の政策としては短期研修支援ではなく、1年以上の長期留学を支援する方が企業ニーズに合致する。より有効な財政の使い方である。

 

高校は、大学の面接重視を嫌う

 では日本で日本人を鍛えることはできないのだろうか。この問題設定を考えていく。前回、提起した国内地方プログラムもそのひとつだが、最後に受験など選考改革について考えたい。

 

 進学校であればあるほど、面接や応募書類重視の入学試験を嫌う傾向があると思う。もし高校が、応募書類作成で強力指導をすれば、大学生本人が書くエントリーシートより上質の応募書類に仕上がるだろう。大学側は応募書類を事実上、選考で使えないことになる。すると、 ・・・ログインして読む
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筆者

小原篤次

小原篤次(おはら・あつじ) 大学教員(国際経済、経済政策、金融)

長崎県立大学国際情報学部准教授。1961年、大阪府堺市生まれ。同志社大学法学部卒、国立フィリピン大学修士。朝日新聞社、チェースマンハッタン銀行(現JPモルガン・チェース)、みずほセキュリティーズアジア初代株式調査部長、みずほ証券リサーチ&コンサルティング投資調査部副部長を経て現職。【2015年12月WEBRONZA退任】

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