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アベノミクスの今後を占う三つのポイント

武田洋子 三菱総合研究所チーフエコノミスト

 昨年末の政権交代以降、円安・株高が進行するなど市場環境は大きく改善してきたが、ここへきて実体経済にも回復の動きがみられる。内閣府が5月16日に発表した13年1-3月期の実質GDPは、前期比年率+3.5%と2四半期連続でプラス成長を示した。輸出が持ち直したほか、消費も堅調に推移したためだ。

 4月以降は、補正予算などを通じた財政効果も表面化しつつある。海外経済の緩やかな回復が続けば、輸出・生産の回復とともに、企業収益や家計の所得環境も徐々に改善していくとみられる。三菱総合研究所では、消費税増税前の駆け込み需要も織り込み、13年度の実質GDP成長率は+2.6%と予想している。

 ただし、成長の持続性という点では、次の3点に留意が必要であろう。

 第一に、足もとの景気回復は、まだ自律的ではないという点だ。上記の高めの成長予想は、13兆円にものぼる大規模な財政出動という“カンフル剤”によって押し上げられている。

 また、消費の堅調も、株高による影響が大きいとみられる。わが国では、家計の金融資産に占める株式等の割合は7%程度と小さいが、株・投信の保有者の7割はシニア層(60歳以上)のため、消費全体の4割を占める同層の消費は資産効果の影響を相対的に受けやすい。また、株価上昇は消費者の景気全般に対する見方の改善にも一役買っているとみられる。消費者マインドを示す消費者態度指数は、1-4月累計で+6.3%pと大幅な上昇を示した。

 ただし、項目別にみると、「雇用環境(+9.7p)」の上昇幅が大きい一方、「収入の増え方(+3.9p)」は小幅上昇にとどまっており、所得に対する見方は慎重だ。実際、消費の堅調とは裏腹に、定期給与は10ヶ月連続の減少となるなど、所得は伸び悩んでいる。消費の持続性の鍵は、株高による押し上げ効果が維持されているうちに、企業の収益改善が雇用・所得環境の回復につながるかどうかだ。

 一方、設備投資は、1-3月期も前期比▲0.7%と5四半期連続で減少している。日銀短観(3月調査)の13年度設備投資計画をみても、全規模・全産業で前年度比▲3.9%と期初のスタート地点としても弱く、企業は慎重な投資姿勢を崩していない。

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筆者

武田洋子

武田洋子(たけだ・ようこ) 三菱総合研究所チーフエコノミスト

【退任】三菱総合研究所 政策経済・研究センター チーフエコノミスト。東京都生まれ。ジョージタウン大学公共政策大学院修士課程修了。94年に日本銀行入行後、海外経済の分析、外貨準備の運用、内外金融市場のモニタリング・分析、外国為替市場における平衡操作担当などを歴任。09年4月より現職。専門は国際金融、マクロ経済、公共政策。

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