メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

株価急落、犯人は都銀だった

森永卓郎 経済アナリスト、獨協大学経済学部教授

 日経平均株価が5月23日に13年ぶりの急落をして以来、乱高下を続けている。これまで順調に上昇し続けてきた株価が変調をきたしたことで、「アベノミクスはバブルだった」と批判する評論家も多い。しかし、私はアベノミクスによる株価上昇はバブルではなかったし、今後の株価上昇の余地は大きいと考えている。

 5月23日の株価急落の直接のきっかけとなったのは、予想以上に悪化した中国の景気指標が発表されたことだった。しかし、これは本質的な原因ではない。もし中国が震源地であるなら、アジア株も急落するはずだ。確かにアジア株も下がりはしたが、下落率は2%程度だった。そのなかで日本株だけが7%も下がったのだ。

 原因は日本にある。それは、5月23日に日本の長期国債金利が1%を超えたことだった。2年間で資金供給を倍増する「異次元の金融緩和」のなかで、日銀は思い切った国債購入を計画している。そのペースは新発国債の7割を日銀が買い取るという大胆なものだ。

 それだけ日銀が国債を買えば、国債市場で国債の値段が上がる(=金利が下がる)はずだと誰もが思っていた。実際、異次元緩和直前の長期国債金利は0.5%だったが、直後に0.3%まで下落した。そこまでは、予想通りだった。

 ところが、その後じわじわと長期金利が上昇し、ついに1%を超えたのだ。せっかく住宅投資や設備投資が戻りかけてきたところで金利が上がってしまったら、景気回復の芽が摘まれてしまう。それで、日本株が大きく値を下げたのだ。

 しかし、日銀が国債を大量購入するなかで、国債の需給がなぜ悪化したのか。その答えは、日銀統計で明らかになった。5月31日に発表された4月分の「民間金融機関の資産・負債」によると、

・・・ログインして読む
(残り:約932文字/本文:約1654文字)