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トヨタvs.現代――韓国市場の局地戦が面白い

木代泰之 経済・科学ジャーナリスト

 現代自動車と子会社の起亜自動車が独占していた韓国市場で、トヨタ、日産、ホンダなど日本メーカーが急速に販売シェアを伸ばしている。といっても、日本からの輸出車ではなく、米国の現地法人が生産した「米国車」だ。

 韓国と米国のFTA(自由貿易協定)が2012年4月に発効し、米国車の関税が半分の4%に引き下げられたので、日本メーカーがここぞとばかり攻勢をかけている。世界各国で競合する現代を、市場は小さくても、足元で突き崩そうという作戦。自国での思わぬ苦戦に、現代は危機感を深めている。

 米韓FTAは、李明博・前大統領が推進した「FTAによる経済領土拡大」の一環だ。発効と同時に韓国が米国車にかけている8%の関税を4%に下げ、5年後には撤廃することが決まった。

 日本メーカーはこれまで、日本から直接輸出すると関税が高すぎるとして二の足を踏んでいたが、関税が半分になった米国車なら太平洋を運ぶ輸送費をかけても競争できると計算した。

 米商務省のまとめでは、2012年に韓国に輸出された米国車は2万2600台で、前年より51%も増えた。その大半が日本メーカーの米国車だ。韓国内の新車販売台数150万台に比べれば数字は小さいが、注目されるのはその高い伸び率だ。

 日本メーカーの車の売れ行きは今年に入っても好調だ。トヨタの場合、

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