2013年06月10日
株式市場の動揺が止まらない。市場の乱高下が始まった5月23日には、その理由として長期金利の上昇が指摘された。しかし、一時1%を超えた10年国債の市場利回りは、その後0.8~0.9%で安定しているが、株式市場には回復の兆しはない。そもそも、長期金利の上昇を原因とした株価の調整というのなら、アメリカの株式市場はどうであろうか? FRBによる量的金融緩和縮小の思惑で、この2カ月で長期金利が0.4%も上昇しているのに、ダウ平均やナスダック株価指数は殆ど影響を受けていない。
その他の海外の株式市場はどうであろうか? 日本の他、香港のハンセン指数、ドイツのDAX、そしてイギリスのFT100、といった株価指数が5月の半ばから下げ基調にあるが、下落率はせいぜい5%程度であり、また中国や欧州の経済ファンダメンタルズの悪化から説明が付く。反対に、日本の経済ファンダメンタルズは殆どの指標(例えば、鉱工業生産指数や景況感指数)が改善を示しているのに、株価指数は高値から20%も下落している。
日本の株式市場の大幅な下落は、金利要因でも、グローバルな株式市場の要因でも、説明がつかない。何か、日本特有の要因があるに違いない、と考えるのが妥当だろう。
今、注目すべき指標がひとつある。それは、予想インフレ率だ。(「予想インフレ率」については、拙稿「長期金利の上昇が財政危機を招く?-いや、市場は正反対のシグナルを送っている!」(5月18日)を参照頂きたい。)今年に入って上昇を続け、5月半ばには1.8%を超えていた予想インフレ率が、株価の下落と共に低下して、現在は1.4%まで下がっている。(「日本で今何が起こっているのか?~予想インフレ率の気になる急落~」by Marcus Nunes)
そもそも、年初に0.7%であった予想インフレ率が5月半ばまでに1%以上も上昇したのは、
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