2013年06月14日
5月22日にバーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長が、「あと数回の議論で金融緩和の縮小(出口戦略)に向かう可能性がある」と米議会で証言し、その後、世界の株式市場や為替の大混乱が止まらない。ゼロ金利や量的緩和を当たり前に思っていた市場は過激に反応した。日本市場だけでなく、低金利のドル・円の流入で上昇していた新興国の通貨や株価の暴落がひどい。
その日議長が事前に提出した発言要旨はごく穏当な内容で、それを読んだ市場関係者は誰もが株は買いだと思った。爆弾発言は議員とのQ&Aの中で不意に出てきた。
議員「レーバー・ディ(9月2日)までに緩和縮小の可能性はありますか」
議長「さあ、どうでしょうか。その時の経済指標によります。もし改善していれば数回のミーティングのうちに、縮小が始まるかも知れません」
FRBの会議は6週間に一度開かれるので、早ければ9月3日が方針変更の節目になる。しかし、当面の焦点は来週19日に予定されるバーナンキ議長の発言だ。市場の大混乱を見て、前回の発言を事実上訂正するかどうかに世界中の注目が集まる。
FRBの金融緩和はリーマンショック以降、大きく3回(QE1、2,3)あり、現在はQE3の最中。FRBが米国債や株式、社債を大量購入して市場に資金供給し、景気の底割れを防いできた。その額はすでに300兆円に達し、FRBも負担が大きい。
先のバーナンキ発言には、各国に「出口戦略はそろそろだぞ」と示唆し、心の準備をさせる予行演習の意味があったと言われる。
しかし、バーナンキ議長はついこの間まで緩和縮小とは反対のことを言っていた。昨年12月の記者会見では「失業率6.5%の目標達成までゼロ金利を続ける」と言い、その時期は2015年半ばをメドとしていた。今年2月末の米下院金融委員会でも「失業率が6%台に下がるのは2016年ごろ」述べ、その数字の明示こそFRBの政策の透明性を示すものだと説明していたのだ。
それがわずか3カ月弱で「あと数回の議論を経て・・・」に変わった。最新の失業率は7.6%だから、まさに豹変である。FRBにはハト派(緩和論者)とタカ派(早期縮小論者)がいる。中間派とされる議長はだんだんタカ派の言う「緩和縮小は最新の経済指標や景気動向を判断して決める」という方向に近づいてきた。
もともと景気の変化に無関係に目標時期を固定するのは「硬直的」と批判されていたので、普通に戻っただけとも言える。しかし、
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