2013年06月17日
米中の首脳会談で、習近平国家主席がオバマ大統領に対し、TPP交渉の進展状況について質問し、交渉過程の透明性の確保と、交渉状況についての継続的な情報提供を依頼した。これについて、中国もTPP参加を検討しているという報道がなされている。中国がTPPに参加するかどうかは別にしても、中国がTPPに関心を持ち出したことは事実である。それは、なぜだろうか?
TPPは、参加国間の貿易と投資の自由化を進める自由貿易協定の一つである。自由貿易協定の本質は、排除(exclusion)または差別(discrimination)である。(これは、どの国も無差別に平等に扱うべきだとするガット・WTOの“最恵国待遇”原則の大きな例外である。)貿易について言えば、参加国内の関税は撤廃して貿易を推進するが、参加国以外に対しては、関税は維持される。
つまり、A国とB国の間では、関税という石ころもないハイウェイの上を、モノを積んだトラックが自由に行き来できるようになるが、C国がA国やB国と貿易しようとすれば、石ころだらけのデコボコ道を通らなければならないということだ。A国とB国の自由貿易協定から排除されたC国は大変な不利益を受ける。C国はどうするか?A国とB国の自由貿易協定に参加するか、A国、B国それぞれと自由貿易協定を結ぶしかない。
これが実際に起きているのである。日本がメキシコと自由貿易協定を結んだのは、メキシコがアメリカ、EUと自由貿易協定を結んだために、メキシコ市場に輸出しようとすると、関税を払わなくてもよいアメリカやEUの企業に比べ、日本企業が不利益となったからである。
また、日本がアメリカ、EUとの自由貿易協定(アメリカとの間はTPPである)に意欲を示しだしたのは、韓国がアメリカ、EUと自由貿易協定を結んだため、
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