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福島を踏み台に原発を海外に売るのか/メーカーの責任問う仕組みを

小森敦司 朝日新聞経済部記者(エネルギー・環境担当)

 福島の人々を踏み台に原発を海外に売るのか。

 安倍晋三首相の原発トップセールスが加速している。そのセールストークは「世界一安全な原子力発電の技術を提供できる」だ。

 その発想は、「東京電力福島第一原子力発電所の事故で、日本の原子炉メーカーの安全技術が進歩した」(経産省幹部OB)というものだ。

 そこに倫理感はあるのか。福島では原発事故でいまだに15万人を超える人々が自宅に帰ることができないでいる。そのとてつもない苦労を踏み台に原発を売りたいというのか。

 朝日新聞の投書欄に5月、安倍首相の原発輸出路線を批判する男性の声が載った。「福島県双葉町の古里を失った身からすると、セールストークの手段に使われてはかなわない」

 そうした批判の声は安倍首相には届いているのだろうか。

 東電の原発事故が起きてから2年余り。いま、被災者に対する損害賠償の仕組みがきわめて不十分だ、と問題になっている。

 よく考えると、日本などの原子力損害賠償制度はゆがんでいた。日本原子力産業協会の資料だと、戦後、米国政府は「原子力プラント輸出の条件に、メーカーやサプライヤーなどが原子力損害賠償責任を負わないような制度の制定を要求」したという。

 その条件を飲んだ日本は、 ・・・ログインして読む
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筆者

小森敦司

小森敦司(こもり・あつし) 朝日新聞経済部記者(エネルギー・環境担当)

東京都出身。1987年入社。千葉、静岡両支局を経て、名古屋や東京の経済部に勤務、金融や経済産業省を担当。ロンドン特派員も経験し、社内シンクタンク「アジアネットワーク」では地域のエネルギー協力策を研究。現在、エネルギー・環境分野を担当、とくに原発関連の執筆に力を入れている。著書に「資源争奪戦を超えて」「日本はなぜ脱原発できないのか」、共著に「失われた〈20年〉」、「エコ・ウオーズ~低炭素社会への挑戦」。

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